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第1話

第一章  兄との出会い ボクのお母さんはとても綺麗だ。 見た目もだけど、心が…。 優しいお母さんはボクにいつも言う。 ごめんねと ボクにはその意味はわからない。 小学生に上がる頃お母さんは再婚をすると言ってきた。 その時のお母さんはとても幸せそうに微笑んだ。 ボクは嬉しくて心がぽかぽかした。 「つとむ、おいで」 お母さんがボクに手招きをする。 お母さんのそばに行くと、知らない男の人がいた。 「つとむ。これこら一緒に暮らすお父さんになる人よ」 お母さんがそういうとかっこいい男の人はしゃがみ込みボクの顔を覗く。 幼いながらにボクは恥ずかしくなった。 .....いや。今思えばボクの顔が不細工で恥ずかしくなったんだ。 お父さんになる人は対照的にすごくかっこいい人だったからだ。 顔の堀が深く、背も高い。 このお父さんになる人に似ている連れ子もいた。 名前はかけるらしい。 僕の3歳上だと言っていたからお兄ちゃんだ。 優しく握手をする手がとても暖かかったのを覚えている。 「はじめまして、かけるです。」 「つ、つとむです。」 それからよく兄と2人で遊ぶようになった。 これから小学生になる僕ともう小学生の兄はいろいろ教えてくれた。 ボクは兄が少しずつ少しずつ好きなる。 優しくなんでも教えてくれて、何も言わずに手を引いてくれる兄が。 それからボクは小学生になった。 今まで共有していた兄との時間が減った気がした。 「つとむくん」 放課後女の子が席にきた。 「どうしたの?」 「つとむくんのお兄ちゃんてかけるさんなの?」 「えっ。。う、うん。」 いきなりの質問に戸惑った。 肯定した瞬間ザワッとクラスが騒めいた。 笑い声や、不穏な空気になる。 ボクの兄はとてもかっこいい。 それはボクだけじゃなく、学校でも。 ドクンッと胸が鳴る。 ここにいちゃいけないきがする。 逃げないと。怖い。 「ぼ、ぼく…「似てねぇー…」 帰るって言おうとしたら話に割り込んできた、男の子がぼくに言う。 「こんなトロイ上に顔もブスなのに!へんなのーー!!!」 そいつがそういうとクラス一体が笑い出す。 ブスと自覚がなかったボクは泣きそうになり、逃げるに逃げられなくなる。 足がすくみ、頭が回らない。 「つとむ」 咄嗟の兄の声に顔を上げた。 前のほうに顔を向けると、優しく微笑んだ兄がボクのリュックを持ち頭を撫でてくれる。 「帰ろう」 そう言った兄がボクの手をとり歩き出した。 だめだよ、ボク、汚いよ、 そう言いたくてでも涙が止まらなくて、 しんと静まり返ったクラスに、背を向けてクラスをでた。 そこからボクが、いじめの対象になりはじめた。 それは高校生になっても変わらずだ。

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