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《エピローグ》
「あ、おかえりー」
数日後。アズマとシオンは協会の本部へと顔を出した。先日のケントの件だ。到着早々タクイが二人を見つけ話しかけた。
「水上くん大丈夫だった?」
「あ……まぁ、はい」
「結城くん間に合って良かったね」
「……は?」
「後続隊が見つからなくて、ダメ元で結城くんに連絡したんだ。水上くん一人で向かったって言ったら、すぐに向かうって言っててね」
タクイの言葉に、目を丸く見開いてシオンは隣のアズマを見やった。アズマは首元をほんのり赤くさせてシオンの方を見ようとしない。
「タクイさん、それは内緒って言ったじゃないですか」
「でも仲直りしたんだからいいじゃないか」
「いや、仲直りって……元々喧嘩もしてないですけど」
「そうなの?」
まぁでも、と付け加えて、タクイはニヤニヤした顔をシオンに向けた。
「二人で来るってことは、仲良くなったんだろ?」
「……まぁ、それなりに」
「あ! もしかして、ギルドに入る気になった?」
「いや、それはないっす」
「えぇー」
がっくりと肩を落としたタクイに、アズマとシオンは同時に吹き出した。
「でも、もうパートナーになったんで」
「へ?」
「これからは連絡も楽になるかもっすよ」
「タクイさんに話せるのはそれだけです。他の報告は全部携帯端末から送りますので」
ポカンとして固まるタクイにひらひらと手を振って、シオンはアズマの手を引いて本部を出た。
「あんなので良かったわけ?」
「別にいいだろ。匂わせられたし」
「つーか、必要だったのかアレ」
「もちろん。シオンに変なムシがついたら困るからな……タクイさんとか」
「……ぜってーないわ」
「鈍いなお前。狩りの下手くそなチワワには飼い主が必要だろう?」
「チワワじゃねーよ……アズマのばーか」
シオンの言葉に、アズマは満足そうに微笑んで触れるだけのキスをした。
End
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