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愛を、地上(ここ)より永遠(とわ)に…(2)
「よく耐えたな。お利口さん」
ぽんぽん、と僕の頭を撫でてから、彼は捲り上がった裾を下ろして、司会者からカメラを取り上げそれをステージの隅に放り投げた。それから僕の戒めを外しにかかる。
「貴様、何をしている!」
白龍が彼を止めようと走り寄って来る。
パーティーを中断されたことで、会場内もにわかにざわめき立つ。
「止めろ、九條彰史!」
彰史さんの肩に白龍が手を置き、僕から離そうとした。
それを振り払い、白龍へと向き直った彰史さんは彼を殴って会場内の男達を一瞥する。
「ガタガタうるせえぞ!! 九條組四代目、九條彰史を敵に回す覚悟のある奴はかかって来い!!」
激しい怒気を含み響き渡る声に、会場内は水を打ったように静かになった。
殴られ床に倒れた白龍も、驚愕の表情で彰史さんを見上げている。
「立てるか?」
彰史さんの問いに小さく頷くと僕は立ち上がろうとした。
が、薬が効いたままの躰は思ったように動かせずよろけてしまう。
「無理するな」
と、彰史さんは僕を横抱きに抱き上げる。
「……ぁッ……」
彼の触れたところから官能の波が広がり、僕の躰がぴくんと跳ねた。
「いい子だからもう少しだけ我慢してくれ」
「は、い……」
すがるように彰史さんの胸に顔を埋める。
僕の躰の状態を気遣うように、彰史さんは屋敷の中を玄関に向かってゆっくりと歩いてくれた。
「あ……、紅龍」
外へ続くエントランスの前には紅龍がいて、扉を開けて僕達の逃走を助けてくれた。
「車を用意しました」
「ありがとう。で、此処で待っていたってことは俺の話を受けてくれると思っていいんだな?」
「はい」
二人のあいだで僕の解らない話が交わされる。
「二人は……知り合い、なの?」
「まぁな。それは帰ってから話してやるよ」
そして、紅龍が用意した車で僕達は一路、彰史さんの家へ。
車を運転している紅龍。
後部に彰史さんと僕。
「……ん……ぁ、ふ……」
未だ治まらない熱に、僕は内ももを擦り合わせる。
そんな僕に気付いた彰史さんは、紅龍に声を掛けた。
「紅龍。このまま運転するか、何処かに駐車するか、お前が選べ」
「運転出来ます」
「大した精神力だな」
「いえ。……水月を頼みます」
「頼まれた」
彰史さんは少し躰をずらし
「水月。今、楽にしてやる」
僕のドレスを捲り、勃ち上がり雫を滲ませている雄を口に含む。
「ひ……ッあ、彰史さ……、やっ」
(紅龍が傍にいるのに)
そう思って彰史さんの頭を退けようとする僕。
彰史さんは、一旦口を離すと
「紅龍から頼まれたんだよ。気にするな」
と、再び僕の男根を喰わえ込み上下に扱き始める。
紅龍に頼まれたって、どういう意味なんだろう。
浮かんだ疑問も、襲い来る快楽にかき消されて
「あぅ……ふ……ッ、あ……あン」
彰史さんの口腔の熱さに、僕自身が溶かされてしまうのではないかと錯覚してしまう。
「熱い……ッ、僕の……溶ける……、溶け、ちゃう……!」
仕上げと言わんばかりに、ちゅうと音がする程強く彰史さんは溢れてくる蜜を吸い上げた。
「……ッ、やああぁァ!」
目の前に真っ白な火花が散って。
そのまま僕は気を失った。
◆◇◆◇◆
気が付いたら其処は彰史さんの家。
朝の光が射し込む中、僕は彼のベッドでその腕に優しく包まれていた。
「彰史さん……」
「おはよう」
「おはようございます」
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