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第18話 気になってたこと
リビングに入り、布地のソファに座った。
大きな窓からは、もし晴れていたら日差しがたくさん注いできそうだ。
先輩は2ℓのペットボトルのサイダーとスナック菓子を出してきて、一緒にソファに座った。
「あの、先輩」
「あ、炭酸苦手?」
「じゃなくて、先輩って、彼女とかいないんですか?」
「は? いたらお前と付き合うって言わないだろ」
馬鹿か、と先輩は独り言のように呟き、キャップを回してプシュッと音をさせ、ガラスコップに注いでいく。
まさか毒とか睡眠薬とか入ってないよな……とサイダーの気泡を注視する。
いきなり家に誘うだなんて、相当手馴れている。きっと今まで何人もの女性に同じような台詞を告げてきたのだろう。
もしかしたらこれまでのはドッキリで、実はぼくが気に入らないからこの後ボコボコにしてやろうって魂胆じゃ……
「なんか疑ってるだろ、お前」
「はいっ?」
「先輩の家に連れてこられちゃった、どうしようって顔してる」
「しししししてないですよ!」
何もかも見透かされている!
先輩は焦るぼくとは対照的に、かなり冷静だ。
「色々と話があるって言ったのはお前だろ。雨も降ってて肌寒かったし、店入るにも混んでて落ち着けないだろうと思ったから、うちに連れてきたんだよ」
あ、なるほど。
電車の中では込み入った話も出来なかったし。
確かに二人きりで落ち着いて話し合いはしたい。
どうやら聖先輩は表には出さないけど色々と考えてくれているらしい。歩太先輩の言ってた通りだ。
「で、何を話したいの」
ポテチの袋を豪快に真っ二つに開けた先輩は、ぼくとは目を合わせずに言った。
「あぁ、そうですね、えっと……」
話したい事が目の前のポテチのように山盛りで、すぐに言葉が出てこない。
聖先輩と歩太先輩を間違えたんです、ぼくはずっと歩太先輩が好きだったんです、聖先輩はぼくをいいなと思ってくれてたみたいですが……
「先輩ってゲイなんですか」
サイダーを飲んでいた先輩は動きを止めて、じろ、とぼくを睨む。
ひー! もしかして地雷だった?!
先輩の反応にいちいち怯えてしまう。
だって怖いんだもん。いきなり拳が吹っ飛んできたらどうしようって。
先輩はテーブルにコップを置いて、首を横に振った。
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