頭をソファーの肘掛に置いて高くなるようにする。 　いよいよ後戻りができない。 　反り返った自身がぼくを嘲笑っているかのように、こちらを向いて時折ピクピクと痙攣していた。 「さすがに、自分で抜いたことはあるだろ」 「ひぁっ、あっ！」 　先輩は前置きなしにぼくのペニスをきゅっと掴み、ゆっくりと上下に扱き始めた。 　全く心構えができていていなかったぼくは、その強すぎる快感に顎をのけぞらせてしまう。 　先輩の手はバスケをやっていたからか、大きくて弾力があって、そして優しい。 　先輩は皮を限界まで上までもっていって、またゆっくりと下へ戻す。 　絶妙な力加減で、やられる度に腰全体に甘い疼きが波紋のように広がった。 　痛いほどに腫れ上がっているペニスからは密が溢れる。もう既に達してしまいそうになった。 「あ、あっ……せんぱっ……」 「人にやってもらった事は？」 「んっ……なっ、無いですっ」 「そうか。俺も自分の以外にこうやって触るのははじめてだ。痛かったら言えよ」 　無愛想な先輩とその優しい手の動きが結びつかない。 　先輩は優しく柔らかく、ぼくのものを大事そうに扱いている。自分でするのとではあまりにも違いすぎて、軽くカルチャーショックを受けた。 　人にやってもらうのってこんなに気持ちいいんだ?!　てことはエッチなんてしたらもっと大変な事に…… 　ブンブンと首を振って、妄想を止める。 　いま、なんてことを考えたんだろう。歩太先輩じゃなくて、聖先輩とのエッチを妄想してしまった。 　やっぱりダメだよこんなの。今更かもしれないけど、やめてって言おう。 　あ、そうだ、痛いですって一言言えば、きっとすんなり止めてくれるだろう。 　軽く火傷をしているかのように熱すぎる中心に意識を持ってかれないように、ぼくは先輩にお願いしようと試みたのだが…… 「あっ！　――あ、やぁ……っん！」 　ぐり、と亀頭を爪の先でこすられて、腰に衝撃が走る。 　ぼくの口からは喘ぎ声しか出てこない。 「あ、これ好き？」 　先輩はぼくの反応が変わったことにすぐに気付いて、しつこくそこを弄ってくる。 　亀頭から後から後から溢れ出す、熱い滴り。 　先輩はそれを人差し指で掬いあげ、出てきた箇所に戻すかのようにそこに塗りつける。 「ん、ん――……す、きっ……」 「小峰、エロい顔してる」 　ハッとして目を開ければ、少し扇情的な瞳でぼくを見つめる聖先輩と目が合った。 　その下で怪しく上下する先輩の手。見慣れない天井。 　非現実的すぎて、でも気持ち良くて。 　ぼくは猫みたいに爪を立たせて、ソファーに掛けられた布のカバーに引っ掛けた。もしかしたら穴が空いちゃうかもしれない。そしたら先輩に怒られる…… 　意識がいろんなところに飛び火して、訳が分からなくなっている時、ついに先輩の最後の追い上げがはじまった。 　はぁはぁと呼吸が激しくなるのと同時に、くちゅくちゅといういやらしい音も部屋中に響き渡った。