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第60話* 学校でいけないことしちゃダメです6

「はぁっ、よ、よかった……」 「な。見つからなかっただろ」  聖先輩はドヤ顔でそう言うので、ぼくはまたキッと睨みつけた。 「なんでそんな偉そうなんですかっ! そもそも先輩がこんな事しなかったら……」 「こんな事って、こんな事?」 「ぁ……あっ、んぅ」  先輩の親指の先が亀頭の窪みをすり上げた。  もう焦らしに焦らされたそのペニスは、気を抜けばすぐにでも欲望を解放してしまいそうだった。 「ん……っ、ぃやっ……」 「今出さないと、また誰か来てずっとお預け食らったままかもしれないな」 「やっ……そんなのっ……やだっ」 「じゃあもう、イけ。俺にエロい顔見せながら」  急に片方の手でやんわりと玉を揉まれ、目の前にチカチカと星が瞬いた。  くにゅ、と優しい手つきで転がされて、片方では皮を引っ掻くようにして扱きあげられる。  間近で聖先輩にビー玉みたいな目で見つめられ、ぼくはその視線でもなぜか感じてしまい、体の芯から震えた。  同時に二箇所弄られて、気持ち良すぎて訳が判らない。 「──あっ、あ……っ、先輩っ、んっ、イくっ、イきますっ」  先輩としっかりと視線を絡ませながら、宣言通りに先輩の手の中に白濁を吐き出した。  はー、はー、と深呼吸をしながら、ぼくは先輩の肩口にコテンと頭を預ける。  今日は先輩の髪や服を汚すことはしなくて一安心した。 「気持ち良かったか」 「は、はい……すいません、ぼくばっかり……こんな……」 「少しは分かっただろ。俺、結構嫉妬深いんだって事」  横向きにギュッと抱きしめられながら、ぼくは視線を床に彷徨わせる。  そうか。なんでこうなったかって、そもそもぼくが、歩太先輩を見ていたから聖先輩はこうしてぼくに意地悪したんだった。  先輩の首筋からは、甘くていい匂いがする。  心地良くて、そこから顔がなかなか上げられなかった。 (先輩、ぼく……先輩が……)  ハッとして目を見開く。    今、自然と沸いてきた感情に戸惑った。  確かにこの間までは、歩太先輩のことしか頭になかったはずなのに。  こうして体に触れられると、脳が蕩ける。聖先輩はまるで麻薬みたいな人だ。  体が気持ち良くなっているから脳が勘違いしているってことはないだろうか。  例えばこれがもし、歩太先輩にやられていたら?  ぼくは「この人が好きだ」と同じようなことを思うんじゃないのか。  聖先輩は目を閉じて、ぼくの髪に優しいキスを落とす。  なんだか泣きたくなってしまった。  ぼくがこんなに複雑な心境を抱えているだなんて、夢にも思ってないんだろう。  ぼくのことが大好きな聖先輩……。  本当の事を知ったら、聖先輩はどう思うんだろう……。

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