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第73話 球技大会スタート2

「ねぇ、カラコン先輩、雫のことめっちゃ睨んでるよ」 「えっ」  乙葉の視線の向こうには、言う通りカラコン野郎とその仲間たちがいた。  ぼくと目が合うと意味深にニヤッと口の端を上げる。最近はぼくの前にぱったりと姿を現さなくなったから問題は解消されたと思い込んでいたが、どうやらぼくが気に入らないキャンペーンは引き続き継続中だったらしい。 「怖いねー。でも今日点を取れたら、もうカラコン先輩に絡まれることはなくなるよ。良かったね雫」 「あ……うん、そうだよね」  乙葉には、聖先輩とは今後話せなくなるのを覚悟でお別れを告げると伝えてある。  今はぼくがこんなふうにモヤモヤしているだなんてきっと気付いてないだろう。  開会式が終わり、ぼくと乙葉は体育館を出てグラウンドへ行った。  どの競技を見に行ってもいいことになっているので、まずはサッカーに出場するクラスメイトを応援しに行った。残念ながら僅差で負けてしまったが、出場した生徒たちは力を出し切れたみたいで、満足そうに笑い合っていた。  お疲れーと言い合いながら、数人でまた体育館に戻ってきた。  歩太先輩と聖先輩の出るバスケの試合を見るために。 「よしっ! じゃあ気合入れて行くぞー!」  円陣を組みながら、歩太先輩が声を出す。  体育館の中は人で溢れていた。二階部分もビッシリ。歩太会長目当てに見に来た生徒がきっと大勢いるのだろう。  ぼくと乙葉は人の隙間を潜り抜け、先輩たちのコートのすぐ側に陣取ることに成功した。  聖先輩は、グリーン色のジャージの上からユニフォームであるパープル色のタンクトップを着ていて、手慣れたようにボールをくるくる回していた。  キョロキョロとあたりを見渡すと、案の定カラコン野郎は二階から先輩たちをじっと見つめていた。  やっぱりあの人、聖先輩のことが好きなのかなぁ。  ……あれ、何だろう、張り裂けそうなこの胸の痛みは。  ぼくはまた、服をギュッと持って鎖骨の下あたりを押さえた。

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