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第1話
僕は唐沢 淳(からさわ じゅん)
少女マンガ風に言うと14才の中2️……かける2位の年齢だよ!
職業は地方公務員。しょっぱい役所で働いているよ!
しかしこういう漫画とかで良くある自己紹介って誰に向かってやってるんだろうね。わかってるよ。お茶の間のみんなのためにやってるんだよね。
でも僕は、誰かのためにやってるんじゃない。自分が置かれた状況を整理するためにやってるんだ。
僕は今大いに混乱している。いつもだったら、やっとの思いで就職した職場の事を、しょっぱいだなんて絶対言わない。そのくらい動揺しているんだ。決して、動揺を言い訳に憂さ晴らしをしているとかそういうことではない。
僕は今焦っている。
まずは自分自身の変化についてだ。
こんな話をするとお茶の間のみんなは、びっくりするだろう。PTAのお母様方は赤面してクレームを言ってくるだろう。
僕は今尻を濡らしている。
決してウォッシュレット使用直後だとかそういうことではない。
そう言うことなら正直に話して「いやお前ちゃんと拭けよ」「これが本当の尻拭いってか!」って会話で終了だ。
そうじゃないから困っている。
「ぐちょぐちょだな……ぬぐっても、ぬぐっても、止まらない。本当にオメガになったんだ。」
「言わなくて、いいよ。そんなこと……」
僕は生まれてこのかた二十余年、平々凡々のベータの男性として過ごしてきた。
男と女の性は性転換手術をもってしても、完全な移行はできない。
アルファ、ベータ、オメガの性もまたしかり……のはずだった。
光源氏現象。
ローラースケートを履いたあの人達ではない。
近年抑制剤の進歩は目覚ましく、オメガは発情期に苦しむ事は少なくなった。フェロモン隠しの技術も進み、フェロモンの薄いオメガであれば、アルファであっても気づかない程だという。
これまで発情期のせいで、進学就職が難しかったオメガの社会進出が容易なものになりつつある。
しかしそれで困る存在がいた。アルファである。突如、意中の相手を見つけにくい時代に突入してしまったのだ。
オメガの希少さもあってか、ベータと結婚するアルファもいるが、アルファはオメガを求める。
ここで挫けないのが、アルファの優秀たる所以なのか。
アルファがオメガだけでなく、ベータを自分の番とする事が出来るようになった。
厳密に言うと、一部のアルファは意中のベータをオメガに変化させる事が出来るよう進化したのだ。
いわゆる「俺色にそまれ」というやつだ。
そして僕は光源氏現象の被害者だ。オメガに変化してまだ数ヶ月しか経っていない。
まさに初めてローラースケートを履いて歩くようなたどたどしい存在だ。
そして、僕を改造した諸悪の根元が今、目の前にいる。
「やっぱり気が引けるか?弟に体を作り替えられた挙げ句、こんなことされるなんて」
そう。僕に覆い被さる説明台詞乙!なこの男は、僕の弟なのだ。
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