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第4話
ジッパーが下がる音。
飛び出したそれは、血管が浮き上がり、先走りを滴らせている。
お前もだろうがと言いたくなる気持ちを何とか抑えた。
昌樹は側に置いていたコンドームを自身のそれに被せた。本当に僕を孕ませる気はないらしい。
薄膜越しでもわかるその質量が、僕の下腹部に押し当てられる。
そこからは、自分でも恥ずかしくなるほどすんなり入ってしまったが、僕の胎内で刺激され、それはまた一段階大きくなる。
大きく凶悪な熱が今この時期だけ存在する臓器を、突き破る勢いで押し上げる。
僕は思わずひいと悲鳴を上げたが、体の方はというと、喜び更に奥へと招き入れようとする。
どんどん快楽が強くなる。昌樹の、弟の精を胎内に塗り込めようと扱きあげている。
頭では、この交わりで孕む事はないとわかっているのに。
それからどの位たったのか。長いようでもあり、短いようでもあった。
昌樹は、うっとうなり声を上げ、その熱い欲望を膜越しに放った。
間接的な被弾のはずなのに、その熱さに僕はすっかり感じ入ってしまった。
昌樹が僕に雪崩れ込む。
「すげぇ締め付け。癖になる」
熱が僕の体を通りすぎた。先端が出ていく前、名残惜しく、力を入れてしまった事に、僕は羞恥心を抱いた。
昌樹は体を起こし、先ほどまで僕を穿っていたそれに手を伸ばす。
熱を失いつつも長大なそれから、ゴムが外されるのを僕は食い入るように見つめる。放たれたおびただしい液量。
あれが放たれてしまったら、僕は確実に子を宿す体になってしまったのだと認識すると、胎内が疼いてしまった。
「まだ、足りないって顔だぞ。欲張りなお兄ちゃん」
弟よ。それで優位に立ったつもりか。
お前もまだまだ臨戦態勢じゃないか。
初めての時は、子袋がまだ未完成だったからか、その奔流を直で受け入れても妊娠はしなかった。
医者から言われた。次は確実に妊娠する体になっているだろうと。
まだ、子が望める状況じゃない。しかし、またあの快感を味わいたい。
どうしたんだろう。さっきまで、あんなに狼狽えていたのに。もう、次が欲しくて仕方がない。
「こんな時に弟面するのずるいぞ」
まだ恥ずかしさと戸惑いは残るものの、弟に、変えられていっているのがわかる。
最初の時はこんな軽口叩く余裕はなかった。
次の発情期を迎える頃、僕はどうなっているのだろう。
昌樹は、ふっと笑うと再び僕に覆いかぶさり、僕の体のあちこちを可愛がり始めた。
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