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第3話
『大丈夫?』
『はい』
『そっか、ならいいけど。じゃあ、俺帰るね』
『あ、あの先輩っ』
俺にとって初めての男相手のセックスが終わったあと、ベッドに沈んだままだった奏くんは身繕いを終えた俺を目を潤ませて見上げた。
綿毛のように細い髪を乱し、華奢で色白の肌はむき出しのままだ。まだ幼いともいえる成長過程の身体は改めてみると本当に細い。
『なに?』
『あの……っ』
一度だけ、でいいなんてまるでドラマみたいなことを言ったのは奏くん。
だけどセックスすればもっとと欲求が増したとしても仕方ない。俺たちまだ子供だしね。
ヤる前よりもすがるように向けられた目が切なそうに揺れてる。
わりと好き、から、結構好き、にランクアップしてもらえたんだろうか。
そんなにヨカッタ?
そう訊くかわりに俺は手を伸ばして奏くんの頭を撫でた。
頬を染める様子は素直に可愛いと思える。
だけど――、それだけ。
『またね』
俺がそう告げると一瞬泣きそうに顔を歪めたけど、ポジティブらしい奏くんは小さく頷いて
『……また、誘いますね』
と、微笑んだ。
俺もそれに微笑み返し――
「はい、もしもし」
『先輩。お昼にお電話すみません』
電話がかかってきたのは昼休みに入って30分ほど経ったときだ。
ひとり生徒会室で昼食をのんびりとっていたから周りに気をつかうことなく携帯を取り出し出た。
かけてきたのは奏くん。
男相手の初体験から三カ月経った今も奏くんとはごくたまーにセックスをしている。
まぁいわゆるセックスフレンドってやつだな。
俺の声が聴きたかった、らしい奏くんからの誘いをその時の気分次第で受ける。
奏でくんからのお誘いは明日か明後日会ってくれませんか、ということだった。
建前としては「一緒に勉強しませんか」だけど。それはイコールでセックスになる。
「いいよ。明後日の金曜日でどう?」
最近断ってばかりだったから素直に頷けば弾んだ声が響いてくる。その声は可愛いし、幼さを感じる。
奏くんは自分の方が金曜は早く終わるから俺の学校まで来る、と言ってきた。
「了解。じゃあ、明後日」
智紀先輩に会えるのすごく楽しみにしてます、なんていう健気な言葉を聞いて電話を切った。
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