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第12話
あの日、悠亜は亜南に抱かれた。
体が動かなくて、されるがままだったが、それを亜南は了承と取ったらしい。まるで、付き合っている恋人同士のように接してくるようになった。
はじめは拒絶感の方が強かった。
けれど、徐々に自分が亜南に向けている感情を理解してくると、その拒絶感も薄れていった。
あんな夢を見るようになるほどに。
ただ、それでも、絶望感は拭えない。
亜南に優しくされる度に、自分は結局あの男と同じ性癖なのだと知らされる。
同じ一部があるのだと、ひどく気持ちが落ち込んだ。
それと同時に、亜南に求められるのが嬉しくて仕方がない。
結局、自分はあの日から一歩も動けていないのだと知る。
「悠亜」
亜南が抱きしめてきた。
その背中を抱きしめ返したい。
夢のように、言ってしまいたい。
けれど、出来ない。
「悠亜」
好きな男に、好きとも言えない。
何も返せない自分を、さっさと見限ってくれればいいのに。
悠亜はただ、亜南の腕の中で涙した。
end
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