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最終話

成すすべもなく見送ってしまったお供の犬、猿、雉。 その場に残る桃太郎の『ももっしゅ』の香りが消える頃、漸く心体の自由を取り戻した雉が赤鬼を睨みました。 「…どういう事か説明してもらおうか。桃太郎はどこに連れてかれた?あの青鬼は何者なんだ!?」 「…ああ、青鬼か。アイツの本性は淫魔なんだ。それも最上級のな」 「…はあ?」 「その青鬼が嬉々としてたからな、テメェらのツレの桃太郎は極上の精気を放ってたんだろうよ」 「じゃあ桃太郎は精気を吸われて死ぬって事か!?」 「はあ?そこまではしねぇだろう。気に入ったみてぇだったからな。まあ、あの凶悪な酒気が無くなる程度の精気は奪うだろうがな」 ククッと笑う赤鬼に、安堵の息を吐く雉。 同じく話を聞いていた犬と猿も安心したようでした。 「おっと、いけない。調理の途中だったんだ」 と、一連の出来事を見守っていた黒鬼が慌てて焚き火の方へ戻って行きました。 「じゃ、俺、早く食べたいから手伝おうっと♪」 そう言い、猿は黒鬼の後を追いかけて行ってしました。 それを横目で見送った赤鬼が 「…そんな事より。テメェ、雉だな?」 と、雉に近寄り腕を掴むと、ベロリとその腕を舐めあげました。 「なっ」 ビクリと反応する雉。 「…やっぱ、うめぇ。さっきからテメェの匂いが気になってたんだ。丁度、同じ肉に食い飽きてきたとこだ。味変えにテメェを食わせろ」 獲物を狙うかのような赤鬼の鋭い眼光が雉を捉え、もう片方の手が雉の体に伸ばされた時、その手を犬が叩き落としました。 「犬!助かっ…」 「なに、勝手な事してくれてるの?ソレはボクのだよ。キミも簡単に舐められてるんじゃないよっ」 怒りに目が据わった犬が赤鬼と同様に雉にも憤怒の眼差しを向けていました。 「え、俺も怒られんの?」 「…ああ?お手付きだと?犬っころの分際で生意気な。だが、そんなもの関係ねぇな!」 赤鬼は掴んでいた雉の腕を引っ張り、後ろ向き雉を抱き締めると首筋に顔を埋め牙を突き立てました。 「…ひッ」 不意の痛みに悲鳴をあげ顔を顰める雉。 …も、僅かの間で、牙の間を這い回る舌に段々と甘い声が零れていきました。 「…ぁ、…や、…ぁぁ」 目の前の行為に悔しげな顔をする犬。 そんな犬に優越的な目を向け、雉の身体に手を這わせる赤鬼は、片方を胸の尖りに、もう片方を尻の窄みに到達させると其々違った動きで弄り始めました。 「…ひゃっ、…あ、あぁ、…や、やめっ…」 どんどんと乱れていく雉に堪らず犬は口付けていました。 両手で雉の顔を挟み何度も角度を変え、雉の唇を貪る犬。 まるで、今、愛撫しているのは自分だと雉に錯覚させようとしているようでした。 「……あ、…ぃ ぬ…ぅ」 「…はっ、ムダな事を」 赤鬼は雉の窄みに挿していた指をグチュっと音をたて引き抜き、代わりに滾った自分の熱を突き入れました。 「う、わあああぁ」 いきなりの圧迫感に絶叫をあげる雉。 そんな雉の耳に 「…テメェを今、支配してるのは俺だ。テメェのナカの俺を感じろ、雉」 と囁き、赤鬼は腰を激しく打ち付け始めました。 「ひ、や、あ、あ、あぁ…」 「……雉」 淫らに揺さぶられる雉に、犬は勃ちあがった自身を取り出し、雉の熱と一緒に掴みました。 「…く、…ふ ぅ」 擦れる2本の先端からは蜜が溢れ、どちらのモノかも分からなくなったまま、犬の手を濡らしていきました。 「……は、…あ、…雉」 雉の後ろでは、赤鬼がきつく締め付けてくる雉のナカを最奥めがけて突き上げていました。 「…く、は、…雉」 「…や、あ、あぁ、…ク、イク、イク、…イッちゃ、あああああぁ…」 二人の間で同時に責められた雉は、とうとう絶頂を迎え白濁を吐き出したのでした。 その頃、頂上に近い山中では… 「…あ、や、やぁ、…また、イク、…ク、…ああぁ」 青鬼の下で延々、抱かれ続けている桃太郎がいました。 何度目かの白濁を吐き出した桃太郎を愛おしそうに見つめる青鬼。 「…はあ。桃太郎君、君ほどの精を持った人間は他にいないよ」 うっとりとした瞳で自分を見てくる青鬼に、ギュッと胸が締め付けられる桃太郎。 「…こんな俺でも、青鬼さんの、お役にたてるなら、…良かったです」 少し寂しげな笑顔でそう言う桃太郎に、青鬼はキョトンとしました。 「もしかして、君、僕が君の精だけが目当てだって思ってる?」 「……違うんですか?」 自信無さそうに見上げてくる桃太郎に、青鬼は苦笑いが漏れました。 「ごめん。ちゃんと伝わってなかったんだね。桃太郎君。君が好きだよ。無茶苦茶した後に言っても信じてもらえないかもしれないけどね」 ははっと困ったように笑う青鬼に桃太郎はギュウっと抱きつきました。 「……もう1度言って下さい」 「…え?」 「…もう1度、好きだ、って言って下さい。…そしたら、俺、青鬼さんの言葉、信じます」 顔を真っ赤に染め、今度は恥ずかしそうに見上げてくる桃太郎。 青鬼は、フッと笑顔になり 「…好きだよ。桃太郎君。君だけが好きだ」 「…俺も、青鬼さんが好きです」 二人は互いに見つめあい、クスリと笑いあうと、優しい口付けを交わしたのでした。 そうして桃太郎は青鬼と末長く幸せに暮らしましたとさ。 めでたし、めでたし。

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