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鬼さんこちら 02

 真っ赤な髪に金色の瞳。ただ幸いなことにその肌は真っ白でツルツル、しかも超絶イケメンだったりする。見た目は二十歳前後だが、実は300歳を余裕で越えている。  その頭には二本の角が生えていて、ニヒルに歪められた口の中からは二本の鋭い牙が覗いている。想像していた鬼より怖くはないが、それでも立派な鬼だ。  赤鬼はにやりと不適に笑ったかと思うと敷きっぱなしの煎餅蒲団(せんべいぶとん)に俺を引き倒し、俺の上に馬乗りになって来た。 「まだ仕事見つかんねーの?」 「ちょ、やめ……っっ」  どうでもいいけど、言ってることと行動が伴わないんですけども。この時代は15歳で成人する習わしがあり、15の誕生日に成人した俺は、成人の儀式とやらの名目で鬼ヶ島に鬼退治に出された。  俺の場合はなんとか役目を果たしたが、半数近くはリタイアして戻って来るそうだ。因みに無事に役目を終えれば英雄で、のこのこ帰れば腰抜けの烙印を押されてしまう。 「仕事なんか選ばなきゃいっぱいあるだろうに」 「ちょっ、触んなよ!」  成人したんだから俺も働かなきゃいけないが、今んとこ爺さまの手伝いをするだけだったりして。  そもそも俺の前世の夢は、教師とかサラリーマンと言った普通の仕事に就くことだった。前世では病気でやれないことばかりだったから、とにかく普通のことがしてみたかったのだ。  それがこっちでは爺さまがやってる農業(って言っても家庭菜園に毛が生えた程度のもの)だったり、芝刈りで、俺は立派に働いてるつもりなんだけど、周りはそうは見てくれないらしい。 「や、やめっ。この死に損ないっっ!」 「それ、お前が言う?」 「……っっ」  ああもうっ、悪かったですね。確かに俺は喧嘩を吹っ掛けときながら死にかけたけど。しかも前世では15年しか生きられなかったしさ。  実は赤鬼も俺と同じように鬼に生まれ変わったらしく、前世では俺と同じ20XX年に交通事故で亡くなったらしかった。  赤鬼の享年は見た目と同じ二十歳らしく、赤鬼の場合は今より300年あまりも前に赤鬼に転生して、鬼ヶ島で細々と暮らしていたらしい。そこに桃太郎と呼ばれるどこの骨とも分からないやつ(俺のことね)が突然やって来て、鬼退治と言う名のもとに喧嘩を吹っ掛けて来たのが事のあらましだ。 「ほら、力抜けって」 「やぁ……っっ」  一応は鬼退治に成功したことになってはいるが、もともと鬼たちが人間の前で悪さをすることはない。だから目的を無理矢理遂行しようとしたら、鬼たちは直ぐに白旗を挙げたってわけだ。その前にお仕置きと称し、瀕死の状態に遇わされたわけなんだけども。 「あうんっ、ぬ、抜けよっっ!」  それが所謂(いわゆる)、後ろの処女喪失ってやつなんだけど、前世の俺は何もできなかったから、当然こういったことはしたことがない。そもそも恋愛もしたことがなかったから、この状況は何がどうなっているのか理解できない。 「んんっ、や、やめっっ」  どうやら赤鬼は同性愛者だったらしく、男の俺相手でも気にならないようで、 「はうんっっ」  俺の着物を(まく)り上げて尻を剥き出しにすると、躊躇なく鬼のちんこを突っ込んで来たのだった。

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