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第78話 七夕の夜に
7月7日 七夕
彦星と織姫が一年に一度だけ会っても良いと許される日
桜町商店街では、今年も七夕祭りのイベントが開催される事となった
商店街を上げて七夕祭りセールをやる事が決定し、商店街の者達は浮き足立っていた
一ヶ月前から準備に入り商店街の至る所に七夕の飾り付けをして、街は七夕一色になっていた
其れを商店街の実行委員の者達と烈と、烈の兄達と菩提寺からの応援スタッフとで頑張って飾り付けをしていた
が、烈は七夕祭りセールの準備はするが、セールには顔すら出す気はないと、商店街の皆や慎一や一生、兄達に言った
だから兄達と菩提寺の子達と商店街の皆で何とか乗り切って下さい!と頼んだ
まぁ烈には烈の考えがあるのだと、兄達と菩提寺の子達も快く了承してくれた
商店街の皆も、去年の喧騒を想えば………烈がイベントに顔を出さないのが何となく理解出来ていた
七夕のイベントを一週間後に控え準備にクタクタになりつつも、竜馬と【R&R】のメンバーは、飛鳥井建設近くのタワマンのペントハウスに来ていた
烈は遥か彼方の街並みを眺めて何も言わなかった
七夕に何かイベントをする?と提案して話し合いの為にペントハウスまで来たのだ
烈は外を眺めながら
「七夕には【R&R】は星が綺麗に見える地で配信でもしようかしら?」と呟いた
竜馬は「星っすか?」と不思議に尋ねた
「そう……零れ落ちる程の星を見てみたいわ!」
「それは今の時代無理じゃないっすか?」
と不夜城と化した街並みでは、明る過ぎて星さえ見るのは一苦労だと口にした
デービッドは「ちょい待ちや!竜馬!
Google検索やと長野県 阿智村と謂うのが星が一番綺麗に見える場所と出てるで!」と検索して答えていた
烈は「ならば七夕は其処へ行き星と共に配信しようかしら?
音楽もない、唯の夜空の配信なんてどう?」と謂う
ヘンリーが「それは流石と斬新過ぎだよ!リーダー!それだと我等の出番がないじゃないか!」とボヤいた
「あら?そう?
でもね………七夕の日に夜空の配信なんてのは、まぁ無理な話となるわよ!
七夕が晴天で夜空見えたなんて滅多とないからね
雨か?曇りよ!雲多めの雲りだと星さえ見えないわ!」
竜馬は「う〜ん!どうしたらリーダーに星を見させてあげられるんだ?」と唸った
烈は「まぁ宇宙望遠鏡使えば大概の映像ならば撮影は出来るんだけどね………
夜空に輝く星が見たい時あるのよ!」と静かに話した
竜馬は「あぁ烈は満月好きだよね!
7月はバックムーン(雄鹿月)だっけ?
晴れると良いっすね!
台風の影響か?雲が多過ぎてピンクムーンが見れなかったっすからね!」と笑顔で話す
「今の様に街が明るく無かった頃は、零れ落ちるんじゃないかしら?って思う程に星々は光り輝いて見えたわ!
今は街も明るくなり、夜でも便利な生活を出来る様になった分、あんな頃の星は見えなくなってるわ!まぁそれも時代だから仕方ないのよ
でもね、一年に一度、皆が天の川を探す様に、ボクも見えない銀河に思いを馳せたいのよ」
「七夕は天気が危ういから、梅雨が開けたら長野県行こうじゃないっすか!」
「良いわね!なら七夕どうしようかしら?」
「配信したいなら、何処か抑えるっすかね?」
「配信には拘らないわよ!
皆で楽しく過ごしたいのよ!」
フレディが「でも商店街イベントには出たらダメなんだよね?」と問い掛けた
「去年 結構なイベントにしちゃったからね
今は【R&R】の色を抜いてる所よ!」
「ならば会社の人達や地域の子供達向けに七夕祭りを菩提寺でやるっすか?」
「OH!それ良いね!」
ヘンリーはあの楽しげに答えた
「七夕に人員割けないのよ!
桜町商店街へ殆どの子を行かせてしまうから!」
竜馬は「人手不足じゃ祭りは無理っすね!」と残念がった
「七夕の日は一年に一度しか会えない恋人達を想い過ごせば良いか………」
イーサンは「配信しないの?」と問い掛けた
「配信………どうしようかしら?」
そう言い烈は曇って星さえ見えない夜空を見ていた
そして何処を見ているのか?解らない瞳で
「あの人は………星があろうがなかろうがお前のいる所が至福の場だ………と言ってくれた……」と呟いた
「烈?………」
「星さえ見えない
月さえない
季節さえない…………地下の魔界にいて………
貴方こそがキラキラ光る星で、ボクを照らす月だった
真夏に咲く向日葵の花の様に眩しくて………
ボクの愛でした………」
「……………」
「そんな泡沫の夢………見られないかしら?」
竜馬もメンバーも言葉なんてなかった
烈が言ってる人は………多分唯一無二に愛した人なんだろうから…………
「エイセイに歌わせようかしら?」
「え?何処で?」
竜馬は思わず問い掛けた
「タワマンのヘリポートの印の所にシャステナに演奏させてエイセイとよりちゃに歌わせようかしら?」
ダニエルは「雨だったら?」と聞いた
「雨ならばもっと刹那く歌って欲しいわね!」
雨でも歌わせるんか!と皆思った
ヘンリーが「雨だとプロジェクションマッピングは厳しいかな?」と思案する
「床に出せば良いのよ!それか?屋上にスクリーン展開させて雨なのに夜空出しちゃっう?」
竜馬は瞳を輝かせ
「それやりたい!それやろうよ!」とやる気で言った
ヘンリーは「なら夜空を七夕の日までに撮影に行く班と、ステージ作る班に分かれようか?」とボードに書き込み始めた
撮影 ステージ設営
と書いて誰がどっちを選ぶか?書き込む
「ボクはあまり時間取れないからステージ設営で!」
烈が謂うとデービッドが「なんでやねん?」と問い掛けた
それに答えたのはクーだった
「烈は今 桜町商店街の企画構成と準備の為に人を動かしているからな!」
ヘンリーは「七夕祭り出ないのに準備はするの?」と聞いた
スーが「そりゃ桜町商店街の世話役に名を連ねてるから、出ようが出よまいが準備には出ないとならんのやわ!」と説明した
ルーとクーとゴンは頷いていた
竜馬はサクサクと振り分けをした
撮影 ヘンリー オリヴァー イーサン ダニエル
ステージ設営 烈 竜馬 フレディ デービッド サムエル
ヘンリーは「兄さん……招集するの?」と問い掛けた
烈は「当たり前じゃない!気絶しそうな程に仕事してる奴は、相当酷使して欲しいんだろうから望みを叶えてあげなくちゃね!
気絶してしまえる程に忙しいハードスケジュールになる所へ、ぶち込み尻を蹴り上げてやる必要があるのよ!
適材適食 配置するがボクの役務だからね!」と笑顔て返された
「兄さん………気絶しそうなの?」
「そりゃ責任感じて人五倍働けば、普通の人ならば気絶するのよ!
そんな頑張り屋さんを召喚してやるので、其れは其れは素晴らしい夜空の撮影頼むわね!」
「兄さんの馬鹿!!ハードスケジュールになるじゃないか!」
「倭の国で撮る気ならば梅雨時よ!」
烈が謂うと竜馬も「台風も今年は沢山来てるからな………」と付け加えた
ヘンリーは時間ないじゃないか!とボヤいた
そして兄に「夜空が美しい場を抑えて撮影するよ!リーダーからの御指名戴きましたから!
唸らせる最高の映像頑張って撮ろうね!」と送信
そのラインを見たオリヴァーから
『え?え?えええええええええ!!!
仕事忙しいんだけど………』と返した
竜馬がヘンリーの携帯を覗き込み、笑って携帯を奪うと
「大丈夫だって!ウッズスタンの方からステファン.ジョーンズと田中達郎呼び寄せて仕事させてやるから!
リーダーからの召喚だ!お仕事だぜ!オリヴァー!」と仕事を強調させて謂う
烈も携帯を渡して貰い
「リーダー命令よ!どうやら貴方は気絶する程にハードな場を御所望してるみたいだからね!
貴方の希望を七夕だから叶えてあげるわ!
其れは其れは美しい夜空をお願いね!」とトドメを刺した
オリヴァーは携帯の画面を見て
「リーダー!!」と叫んだ
そして即座にアンソニーを呼び出して
「この地球で一番夜空が綺麗な所を探して!」と命令した
アンソニーは呼び出されて直ぐにそんな事を言われて検索を始めた
「そんな事位自分で探しなよ!」
と、ボヤきつつ検索をしてやる
「ニュージーランドのテカポ湖か、チリのアタカマ砂漠が、空気の透明度が高く光害が極めて少ないそうだぜ!」
オリヴァーは少し考えてヘンリーに電話した
アンソニーに言われた事を伝えて
『どっちに行く?決まったならば即座にチケット取らないと七夕に間に合わないから!』と急がせた
ヘンリーは「ならばニュージーランドで!
兄さんは直接行くの?僕は倭の国から行く事になるけど?」と問い掛けた
『僕は直接ニュージーランドに機材を持ち込み待ってるよ!』
「なら今からチケット取る事にするよ!」
と言い電話を切りチケットを取る為にPCのキーボードをポチポチ叩き始めた
イーサンは「ホテルは取っておかなきゃ寝る場はないじゃんか!」とヘンリーにホテルを取るように指示
ダニエルは「着替えだけで良いのか?」と飛鳥井に帰り着替えを数枚用意せねば!と思案する
チケットが取れたヘンリー イーサン ダニエルは即座にペントハウスから出て飛鳥井へ着替えを取りに行き空港を目指した
設営班は撮影班達を見送った後、屋上へ上がって行った
竜馬は「流石横浜、浜風半端ないね!
こんな風を相手にプロジェクションマッピングのスクリーン設営したら飛ぶかも知れないね!
スクリーン設営出来ないなら………出入り口の壁を利用してやるしかないね!」と風の強さに口にする
烈は「そうね、こんな屋上にスクリーンは自殺行為になるわね!」と現実を実感
フレディは「でも出入り口利用して、カメラ固定しちゃえば何とかなるかな?」とカメラワークを考える
デービッドは「時間ないから、早速やるしかないな!」と時間のなさに腹を括る
サムエルも「リーダーは何時だって過酷な現実突き付け、我等が其れを乗り越えられるか?試練を与えるからな!」と、これも試練だと口にする
竜馬は「さっ、時間がないから動くよ!烈は君島さんにアポ取ってよ!」と動き出す
烈は君島に電話を掛けた
ワンコールで出た君島は
『烈君、君に電話しようと思っていたから助かったよ!』と開口一番に言う
「え?何か用だった?」
『スカウトキャバンの公募のページが出来上がったから確認して欲しくてね!
私も四方も初めての事だから……』
「解ったわ!チェックする為に竜ゅー馬と共に近い内に行くわね!
でね、電話したのはね、是非にシャステナを貸して欲しいからなのよ!」
『え?シャステナですか?』
「最近仕事増えて来てるんだって?
スケジュール合うかしらって思ってね!」
『君の予定に合わせますよ!
数ヶ月と謂う長期だと無理ですが、数日程度ならば叩き出します!』
「七夕の夜だけで良いのよ!」
『七夕の夜だけですか?
ならばスケジュール調整も簡単です!』
「七夕の夜にだけ限定で配信するのよ
其れでエイセイに歌わせようかしら?となってね
ならばシャステナとよりちゃんに出て貰おうと思ってね!」
『私と四方も隅っこで見させて貰えませんか?』
「良いわよ!撮影班が素晴らしく綺麗な夜空を撮影してくれるから、雨でも夜空眺めて七夕を楽しみましょうね!」
『…………それは素敵ですね………』
きっと撮影班は地獄の様な酷使された時間を過ごし最高の撮影と謂う戦利品を持って来るのだろう…………
リーダーの命とあれば、何が何でも完遂する!
其れが【R&R】の絆なのだ
君島と電話を切り烈は
「竜ゅー馬、ボク 七夕に馳せて歌作って来るわ!」と言い屋上を後にした
それを見送りサムエルは「リーダー大丈夫かな?」と口にした
デービッドも「遥か昔の事なんて滅多と口にせんのに………」と不安を口にする
フレディは「想いは遺るからね仕方ない………でも我等がリーダーが其処で足を止める訳ないじゃないか!」と発破を掛けた
竜馬は「刹那い歌を書くだろうな!俺の中ではもぉ使おうと思ってる曲は出来かけてるし、リーダーの為に乗り切るっす!」と口にする
設営班は頑張ってプロジェクションマッピングの具現化について意見を述べていた
そして迎える七夕の夜
桜町商店街のセールは正午から始まった
『桜町商店街からのお知らせです!
今夜配信される【R&R】の配信コードを5000円以上お買い物された方に先着順にお配りしております!レシートは合算でも構いません!
5000円分のレシートを商店街組合の前のテントまでお持ち下さい!
桜町商店街からのお知らせでした!』
このアナウンスは太陽がやった
烈からの指示は翔が伝えて、皆を動かして行く
次代の真贋として最近の翔は貫禄が出て来ていた
やはり源右衛門の血筋なのか?最近は源右衛門に似て威風堂々とした姿が見られて来ていた
康太と榊原も我が子の様子を見に来ていた
桜町商店街 唯一無二の神社の神主 二階堂洋二までもが駆り出され働いていた
「俺は神事だけしていたい!」とボヤく
音弥が「其れが許されるなら僕らは我が家でテレビでも観てるよ!」と働けと叱咤する
「お前等はまだ良いが、小さなお子様まで酷使するなよ!」
きっと響と奏の事を言っているのだ
大空は一希を背負って動いていた
一希は『文句を謂うな!早く飯が食いたい!
終わらねぇと飯も食えねぇだろうが!』と怒っていた
「赤ちゃんに毛が生えてる子が頭に語り掛けて来るなよ!」
大空は笑って「何時もの事だから!是正を遣わす子だから仕方ないんだよ!」と説明した
洋二は「はいはい!」と返事して翔に「はいは一つ!」と怒られていた
康太は「総動員してるのかよ?烈は?」と問い掛けた
流生が「イベントには顔を出さないけど、援護射撃はしてくれて5000円以上のお買い上げで配信コード貰えるんだよ!」とニコニコと説明
菩提寺から世梛 理翔 律希 颯 啓介 洋介 康介 そして城田の息子の海翔が応援に来ていた
その引率に飛鳥井志津子が着いて来て手伝っていた
流生は「夏は盆踊り大会だから、息の合った所を見せないとね!」と謂うと世梛達は喜んだ
康太は「夏は盆踊り大会あるのかよ?」と楽しそうに言う
翔が「菩提寺で盆踊り大会を開催するそうです!
任意で太極拳の方々や道場に来ている父兄に出店のお願いをしてる最中です!」と事情を話した
「何か昔の菩提寺になりつつあるんだな
人が集い、人に説法を説き、教えて行く人道を会した寺となれ!と宗右衛門が願った寺になりつつあってオレも嬉しいぜ!」
「母さん………」
「烈は七夕の日はいねぇか………去年結構【R&R】色出したから抜くのに一苦労と謂う訳か……
でも一度に抜けないから配信コードを配ってるって訳か………」
音弥が「商店街の売り上げを支えているのは烈だから、仕方ないよ!
烈が林檎を持って歩くだけで、その日は林檎完売なんだから!
コロッケでも食べて歩いていたら、お子様も大人もそれを買いに殺到する、とまで言われてる烈だからね………まぁ母さんの愛した商店街だから喜んで協力してるけど、度を越した人もいるからさ
距離を取りたいのは仕方ないよ!」と呆れて口にする
「音弥………」
康太は音弥の顔を見た
最近は嫌と謂う程に隼人に酷似して来ていた
そして最近 隼人の妻の洋子が子供を産んだ
音弥にとったら弟となる子だった
康太は少しだけ音弥が不安定になるんじゃないかって心配した
が、予想に反して音弥は普通に受け止めていた
響と奏はお客さんに配信コードの紙を渡していた
お年寄りは、そんな可愛い響と奏に飴やお菓子を
「ええ子やね!ほら御駄賃だよ!」と渡していた
響と奏は嬉しそうにそれを受け取り
「「あいがとー」」と礼を言った
音弥はそんな康太の想いを知ってか?知らずか?
「僕はね飛鳥井烈のお兄ちゃんだから、烈が指し示す果てへと行かなきゃ逝けない義務があるのよ
僕達お兄ちゃんズは暇こいてる暇なんてないのよ
次から次へミッションが有るからね
取り敢えず、烈不在の七夕祭りを成功させなきゃならないのよ!」
と笑顔で謂う
康太は「そうか……お兄ちゃんズか………」と感慨深く呟いた
「そこ!道路まで看板出さないで!
お客様が躓いたらどうするの!」
物凄い叱咤が飛んでいた
「ゴメンね!サリちゃん!
こんなモノでどうかな?」
「まぁ良いわ!
常にお客様ファーストな心を忘れちゃ駄目よ!」
「解ってるよ!サリちゃん!
後でポテトコロッケあげるからね!」
「あら?それは嬉しいわ!」
康太の眼の前で、そんな光景が繰り広げられていた………
大空が「頼もしい戦力だから連れて来たのよ!」と笑って言う
その顔はもぉ榊原そのものだった
紗理奈は金髪の長い髪をポニティールにしてKappaのジャージを着て、何故か手には竹刀が握られていた
康太は「何故竹刀よ?」と問い掛けた
榊原はその横で肩を震わせ笑っていた
太陽が「サリちゃん、この前剣道一級取ったからね、鍛錬の為に常に護身用の竹刀は手にしてるのよ!まぁ菖蒲ちゃんが傍にピタッとくっついてるから暴漢の心配はないけどね!」と話す
そんな話をしてると「コータ!」と声が掛かった
「よぉ!サリも駆り出されたのかよ?」
「そう!でも駆り出されずとも烈のいる所ならば常に応援に行くから!」
もうジメジメ湿気ってるシャルロットではない
烈に扱かれ、突き落とされ叩き上げられた存在となっていた
「コータ、今夜は宴会だぞ!
慎一が皆から会費取って買い出しに行くと言っていた!」
「おー!それは楽しみやな!」
「じゃ私はまだやる事があるから!」
そう言い持ち場に戻り
「ほらほら七夕は待っててくれないからね!」と発破を掛けた
志津子や鳳凰院家の三姉妹達や竜馬の妹の敦美と共に楽しく準備をしていた
商店街の皆には「サリちゃん」と呼ばれて親しまれていた
皆が七夕に向けて準備を始めていた
康太と榊原も駆り出され手伝っていた
ヘンリー オリヴァー イーサン ダニエルはニュージーランド行きの飛行機に乗る為に成田へと急いでいた
成田からオークランドへ向かうニュージーランド航空の直行便が出ているから、それに乗るのだ
飛鳥井へ行き着替えをリュックに入れて空港へと向かう
空港からニュージーランド行きの飛行機に乗り込み10時間30分の空の旅へと出た
オリヴァーも既に飛行機に乗り、ニュージーランドへ向かっているとラインが入っていた
ニュージーランドでは一応ホテルは予約してチェックインして荷物を置いた
が、昼は只管寝て夜に夜空を撮りに出掛け朝方まで撮影に費やした
納得のいく夜空を撮影し終えて倭の国へと急いだ
下手したら七夕終わっちゃうからだ
慌ただしく準備に明け暮れ、七夕 当日を迎えた
倭の国ではステージ設営班が夜の撮影に向けて調整していた
四方と君島もタワマンにシャステナと早瀬を連れてやって来た
どう言う訳か?花山院楓雅と浅葱仁も一緒に来ていた
烈は花山院の姿を見て
「あら?フーちゃんどうしたの?」と問い掛けた
「烈がイベントやると謂うから来たんだよ!
声掛けてくれよ!烈!
そしたらノーギャラで幾らでも出てやるからさ!」
「フーちゃん………良くもまぁ社長さんの前でその台詞を言えるわね………」
「あ!四方の旦那はそんなにセコくないからな!
許してくれるさ!」
と笑った
午前10時を過ぎた頃、撮影班のメンバーもやっと到着して合流となった
竜馬はその映像を即座にPCに取り込んでいた
オリヴァーは物凄い強行軍な撮影に座れば寝ちゃえる気満々だった
烈は椅子に座り
「歌は事前に渡してあるし、楽譜も渡してあるからリハーサルは一度
後はぶっつけ本番となります!」と告げた
花山院は「俺何したら良い?」と問い掛けた
「フーちゃん歌いなさいよ!
よりちゃんとエイセイの声と合わさっても遜色ないからね!仁たんは踊りなさい
スローバラードを景色に溶け込む様に踊りなさい!」
浅葱は「それ、めちゃくちゃハードル高くない?」とボヤいた
「そう?出来ないなら映らない場へ逃げれば良いだけの事よ!」
浅葱は「………グッ!!」と息を飲んだ
情容赦ない
其れが【R&R】のリーダーだった
烈の瞳がオリヴァーに向けられると、オリヴァーは息を飲んだ
沖縄では何も言われなかった
「社長の交代劇はないから、現状維持よ!」
リーダーがそう言うならば、交代劇はなくて………
オリヴァーは社長のままだった
烈はオリヴァーを見て手招きした
烈の前にオリヴァーが立つと、烈はオリヴァーの鳩尾に拳を入れた
オリヴァーは「うっ!………」と気絶した様に倒れ込んだ
其れをゴンが受け取り椅子に座らせる
ヘンリーはオロオロとその光景を見ていた
一時間位 微調整を繰り返しお昼を食べる
その時にはオリヴァーは叩き起こされた
やけに頭がスッキリする
久し振りにクリアになった頭に、オリヴァーは大きく深呼吸をした
そして皆でお昼を取る事にした
屋上でデリバリーしたお弁当を食べる
「リハーサルやるわよ!」
天候は曇りのままで、何時しか雨が降って来ていた
「竜ゅー馬 リハーサル前のイメージを見せてあげましょうか?」
「そうだね!」
二人は背を向けて中央に立った
デモテープで作った音楽が流れて、烈と竜馬は歌い始めた
その場に刹那い歌が響く
昼なのに………まるで夜空の下にいる様な錯覚を覚える
配信の歌は3曲予定していた
シャステナは楽器に雨が当たらない様にしていたが、その歌を聴いて手を留めて聴き入っていた
ラストの歌が………本当に刹那くて………皆声もなく見ていた
歌が終わると竜馬が
「3曲だけの配信だけど、それを見る為に商店街の人達は総力を上げて接客し、配信コードを貰う為にお買い物を頑張った人達へ贈る配信でもあるんだから最高の歌を頼む!」と告げた
四方が「配信コード?」と呟くと
花山院が「烈は桜町商店街の世話役をやってるので、七夕は特売セールでイベント目白押しなんだけど、もぉ【R&R】は有名になり過ぎたから混雑や混乱を招く行為は出来ないんだよ!
だから桜町商店街の皆に本当なら有料配信の所、規定のお買い物をした人だけに配信コードを先着順で配ってるんですよ!」と説明
「詳しいね君………」
と四方も驚いていた
ゴンが「フーは兄さん達と共に飾り付け作ったり、夜に其れを飾り付けに行ったり手伝っていたからな!」と説明してやった
「「成る程!!」」
四方と君島は納得した
今じゃ飛鳥井の子と変わらぬ存在感で飛鳥井に居着いているのだ!
早目に夕飯をデリバリーで頼み食べる
烈の夕飯はスーが慎一の所まで取りに行き持って来たお弁当だった
お弁当を食べつつ皆で話していると、オリヴァーが「さっき撮った映像流したら?」と謂う
竜馬は「え?夜に同じ歌を彼等が歌うのに失礼じゃない?」と止めとこうと制す
だがオリヴァーは「メイキング映像みたいに流せないか?って思って撮っていたんだよ!」と引かない
烈は「其れは良いわね!チャンネルの投稿や編集する権限はオリヴァーにもあるんだから、思う様にやりなさいよ!」とGOを出す
本番の前に一度だけリハーサルをして、配信時間は夜の7時ピッタリに配信は始まった
最初は椅子を用意して、それに座りトークをする
烈は「七夕の夜に配信したのは、愛する人を想う総べての人に幸せな時間が振り注ぐ様に願いを込めて、歌を3曲ご用意しました!」と語り掛けた
竜馬は「何か雨が酷くなって来たけど………雨雲の上は綺麗な天の川が流れている筈!
そんな想いを馳せて今回の配信に辺り、撮影班とステージ設営班とに分かれ頑張ったんだよ!
まぁ一番頑張ったのは撮影班の皆だけどね!」と言い
撮影班の名前を述べた
「ヘンリー オリヴァー イーサン ダニエル
彼等は夜空が綺麗に見えると言われるニュージーランドへ出向き撮影をして来てくれました!
帰国したのがほんの昼前と謂う強行軍でした!
お疲れ様でした撮影班の皆!」
そう言うとパチパチと手を叩いた
イーサンは「ならばステージ設営班の、リーダー 竜馬 フレディ デービッド サムエル
ステージの設営お疲れ様でした!」と労った
烈は「ねぇボク達は何故に雨の中なのに、トークしてるのかしら?」とボヤいた
ヘンリーが「ステージ前にトークして配信時間一時間と決めたのはリーダーじゃないのさ!」と謂う
「雨じゃなく曇りで良いのよ?」
デービッドは「そんな好き勝手に天気はなってくへへんのや!」と文句を言う
「それもそうね!えっと此処で告知です
この告知は【R&R】としてではなく飛鳥井烈としてしてます!
夏に沖縄にてスカウトキャバンを開催するので、ロック魂を見せてやるって奴は奮ってご応募お願いします!
荒削りでもいい、魂に呼び掛けれる歌が歌えれば良いのよ!
それとピチピチの水着になってもいいぜ!って女の子達はモデル・タレント部門のスカウトキャバンに応募してよ!
と、四方芸能事務所と君島音楽エンターテイメント主催のオーディンを是非受けてやってね!」
フレディが「我等【R&R】は裏方で手伝いする予定です!
まぁリーダーが何かやると言うなら始まるかも知れないけどね!」とウィンクした
ワイワイ告知したり、他愛もない話をして30分経つと烈達は立ち上がった
椅子の置いてある場はステージの反対側だった
ステージにはシャステナと早瀬頼朝、そしてエイセイと花山院と浅葱が立っていた
シャステナが演奏を始めるとエイセイが歌い始めた
その声にハモリを入れながらシャステナのボーカルと早瀬、そして花山院が歌う
浅葱は曲に合わせて踊っていた
違和感もなく溶け込む様に流れる動きで踊っていた
其れをカメラワークから外れた所で見ていた四方が「彼………踊れるのか………」と驚いた風に呟いた
烈は「仁たんには由香里の倭の国のレッスンスタジオを紹介したのよ!
歌うにも踊るにも役を演じるにも、体のブレは直さないとならないからね!
由香里には基礎を重点的に叩き込んで貰っていたのよ!」と説明した
「知らなかった………」
「まぁ知らなくても良いけど、日々努力を積み重ねる人間じゃなくばスポットライトの当たる場には立てない事を忘れないでね!
己を持ってない奴がスポットライトに当たっても、輝く事なんて無理なのよ!」
「肝に銘じておくよ!」
「その人の持つ素質でもあるから、こればっかりは強要も出来ないし、無理な話となるのよね……」
「だね……私もまだまだ未熟という事です!
其れよりも楓雅、歌えたんですね………」
「あぁフーちゃんはメンバーと良くカラオケに行ってるわよ!
うちでも良く歌ってるわよ!
響と奏達とお子様番組見て、歌ってあげてるからね!」
「そうなんですか……もうすっかり飛鳥井の子ですねアイツ!」
四方は笑った
花山院を初めて目にした時、この子は光る何かを持ってると想いスカウトした
四方の予想は当たり、花山院は役者として成功した
が、常に刹那的に常に生きて、周りを寄せ付けない雰囲気の花山院は一匹狼的に孤独で冷めていた
そんな風に花山院を見ていたら、曲はラストの歌になった
君と過ごした日々に
愛は確かにあったのに
今は こんなに 寒くて
刹那い 刹那い 苦しいよ
君をなくした日々に
僕の心は時を止めた
何故に 貴方は いないんだ
刹那い 苦しい 藻掻いて
其れでも僕は君を想うんだ
4人はまるで最初からパートが決められているかの様に歌う
早瀬の哀愁を帯びた声が
シャステナのボーカルの訴えるような声が
エイセイの感情を揺さぶる声が
花山院の刹那い声が
合わさり一つの作品を完成させた
そして浅葱の指先まで表現した悲しみ、怒り、苦しみ、藻掻き、足掻いて、一つ一つの感情を落として無になる
そんな表現の踊りだった
雨が降る中 プロジェクションマッピングは凄く美しい夜空を映し出していた
雨なのに、其処には星が煌めく夜空が映し出されていた
雨に濡れながらも浅葱は踊り
シャステナ 早瀬 花山院 エイセイは歌い切った
今 この時を刻めるのは自分達しかいない
そんな想いだった
演奏が終わり、歌が終わると時を止めたかの様に静けさが襲う
浅葱はやり切った想いで肩を震わせ息を整えていた
烈と竜馬と【R&R】のメンバーが皆の元へ姿を現すと
盛大な拍手で「最高だったわ!」と賛辞を贈った
烈は「七夕の夜にこうして配信が出来て本当に嬉しいです!
特別な夜に、特別な事なんてなくて良い
傍に家族や愛する人がいてくれれば良い
そんな総ての人達の為の愛した過去の残像と共に時間を共有したいと思い、配信を決めました!」と深々と頭を下げた
竜馬は「我等【R&R】は七夕の夜に皆に夜空をお届け出来て最高に嬉しいです!
本当に観て下さって有難う御座いました!」と言い深々と頭を下げた
そして姿勢を正すと手を振り配信は終えた
一時間ピッタリの配信となった
烈はホッと息を吐き
「此れでお買い上げ特典は達成出来たわね!」と安堵した
楽器は雨が掛からなくして、機材を片付け屋上を後にした
烈は「飛鳥井の家に帰るわよ!」と謂うとタオルで拭いたまま地下へと向かった
花山院は「お風呂場に入るから濡れてもまぁ良いか!」とワクワクして車に乗り込む
烈と竜馬はケントのお迎えの車に乗り込み
【R&R】のメンバーはマイクロバスを運転して早瀬と花山院と浅葱を乗せて帰宅した
四方は君島を乗せて飛鳥井近くの立体駐車場を目指す
飛鳥井の家に帰ると、烈は部屋に行き着替えを持ってお風呂場へと急いだ
竜馬も部屋から着替えを持って来るとお風呂場へ直行した
花山院は源右衛門の部屋に四方と君島の分の着替えを、英生は自分の着替えからTシャツとジャージのズボンと新品の下着を持ち、早瀬 シャステナ 浅葱の着替えを適当に持って来ると、自分の着替えも用意してお風呂場へ向かう
君島は「え?他所様のお宅のお風呂借りて良いの?」躊躇して問い掛けた
「此処の風呂場は大きいから10人位なら軽くイケるって!」と強引にお風呂場へと向かう
烈は相変わらず湯舟に浮いてるだけたった
花山院は仕方なく「烈!洗ってから浮けよ!」と怒るのだった
「疲れたのよボクは!」
「仕方ねぇな洗ってやるよ!」
そう言い花山院は烈を湯船から上げてゴシゴシ頭も体も洗ってやる
竜馬は久し振りにゆったりとお風呂に入っていた
烈が洗わないから竜馬が洗っていたのだった
今日は花山院がいるから、竜馬はゆったりとお風呂に入る
メンバー全員で背中を洗い、四方と君島も洗ってやる
ついでに早瀬と浅葱とシャステナのメンバーも洗ってやる
英生は素早く体を洗い湯船に入ると
「烈、出るよ!久遠先生が長風呂は駄目だと言ってたからね!」と風呂から出て脱衣所で体を拭いて服を着る
ヘアオイルを軽く髪に塗り、ドライヤーで髪を乾かしてやる
そして自分も髪を乾かすと服を着てお風呂場を出た
シャステナのメンバーも浅葱もお風呂場に感動していた
早瀬は最近良く飛鳥井に来ていた
エイセイと声を合わせてボイトレしてるからだ
只管レッスンして基礎体力上げて曲を合わせる
疲れ果てて泥の様に眠り起きたらまた仕事が入ってない限りは合わせていた
その時にお風呂場に良く入っているのだ
そして七夕の夜は宴会へと突入した
商店街のセールを闘ってくれた兄達を労い、慎一や一生も労った
菩提寺の子達には烈が志津子に頼み、葛西の料亭から御前を注文し配達して貰っているから、頑張ってくれた子達、付き添ってくれた人達全員に配られた
神威は飛鳥井の家で、阿賀屋や鷹司や紫園と共に飲み始めていた
清隆や瑛太、玲香は皆が集い飲める宴会にご機嫌で飲んでいた
紗理奈も美緒も兵藤もやって来て共に笑って酒を飲む
神野達は配信に呼ばれなかったから、少しだけ拗ねていた
そんなこんなで七夕の夜は更けて行った
愛する人の傍にいるならば………
どうかその手を離さないで下さい………
そんな願いを込めて
一年に一度の逢瀬を楽しむ恋人達の夜は更けて行くのだった
まぁ母ぁーさんなら一年に一度!巫山戯るな!
駆け落ちしてやる!
それが駄目ならば全て焼き尽くす!
とか言いそうだよね
烈はクスッと笑った
康太は「ハクション!」とクシャミをした
「誰がオレの事を噂してやがるな!」とボヤいた
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