76 / 77

第76話 君へ捧ぐ

6月 じとじと雨が降り注ぐ梅雨 倭の国はFIFAワールドカップ トーナメント戦の真っ最中だった 勝敗に一喜一憂して国民は連日大盛り上がりしていた 倭の国代表 中澤広大は連日 観戦者が息を呑む程のプレーをして活躍していた 試合前に中澤広大は 「これが最後のワールドカップになったとしても悔いがない様に、全て出し切るつもりで挑みます!」と答えていた そして柔らかく微笑み 「見て欲しい人がいるんだ! その人の為に死ぬ気で闘い続けるつもりです!」 と答えた、その相手は恋人か?と騒がれていた 中澤はユニフォームの中に【R】マークのネックレスを付けていた キラキラ光るネックレスは即座に話題になった だが、どうやらそれは特注で作ったモノで、売り物ではないと報道各社は商法合戦の果てに掴んでくる程に騒がれていた フリーキックでボールを蹴る前には必ず、大きく深呼吸してギューッと心臓を握る様な仕草をする そしてその後、そのボールはチームに貢献する為に正確に蹴られていた 練習風景を取材のクルー達は貢献している中澤にカメラを向ける 中澤は歌を口涼んでいた 血反吐を吐いて頑張って来た 広大なフィールドを駆けていざ勝負 走れ 走れ 足を止めるな 負けない 負けない 俺達は 蒼く輝く戦士だから! 走れ 走れ 足がもげても 止まるな 止まるな 勝ちに向かって 蒼く輝く明日を掴め! 走れ 走れ 走れ 走れ 足がもげても 走れ 走れ 走れ 走れ 限界超えて この手で勝利を掴むまで! 取材クルーは倭の国代表の清武明人に 「中澤選手は何を歌ってるんですか?」と問い掛けた 聞いた事もない歌だった 「あ~あれば【R&R】のリーダーが広大の為に贈った応援歌だそうで、良く歌ってるよ! 俺等も覚えて口ずさむ程に闘志を燃せる歌となってるよ!」 中澤広大と【R&R】のリーダーとは仲が良いと聞いた事があった が、其れはあくまでも噂程度の話だった 取材クルーは「相手が悪過ぎるな……」と苦笑した 取材に行き、その応援歌流しても良いですか?と聞きたいが………怖すぎる 不興を買えは………明日はない飛鳥井宗右衛門なのだ…… が、中澤広大が口ずさむ応援歌は、特番の後に火がつき、音楽配信はなされないのですか? と、問い合わせがある程だった が、とうの烈はそんな喧騒など耳に入る事なく過ごしていた 竜馬が「広大が試合見に来てよ!と言って飛行機のチケットと観戦チケット贈って来たよ!  無論 ホテルの部屋も取ってあるって?行く?」と問い掛けた 「倭の国でやらないのね?」 「アメリカだったと思うよ!」 「飛行機のチケットも会場のチケットもホテルも取ってあるなら、行こうかしら?」 「ならメンバー達に通達しておくよ!」 「そうね、エイセイも連れて行きたいわ!」 「良い経験だね!なら英生の分のチケットは取っておくよ!」 そう言い竜馬とメンバー達と英生と共に、FIFAワールドカップを見にアメリカへ向かった 烈が観戦してくれるって事で広大は大喜びだった 「良い所を見せなきゃ!」と気合入れまくりだった が、どういう訳か………会場にはヤンキースの広報部責任者 ヤングマンがいた 「やぁ烈君!奇遇だね!」 阿賀屋も鷹司も来ていて「「奇遇であるな!」」と嫌になる ヤングマンは「烈君、始球式やらない?」と問い掛けた ニコニコとやはり倭の国での始球式の不完全燃焼を悔やみ口にする 「この試合の最中は他は考えないから!」と言われ、ヤングマンは黙った 「エイセイ、歌いなさい!」 「え?凄い無茶振りだけど?」 「試合始める前にエールを送るのよ!」 英生は諦めて立ち上がると歌い始めた 嗄れた声が迫力で叫び続けグランドに響く 応援観戦に来た人達は、その歌が中澤広大の口遊む唄だと直ぐに気付いた 試合をわざわざ倭の国から観に来たファン達は、【R&R】の皆によるサプライズに大喜びだった 英生は腹の底から声を出して歌っていた 敵側のファン達も倭の国のファン達も、その歌声に痺れる程の衝撃を受けていた 英生が歌い終わると皆は歓声の声を上げた ヘンリーは「やっぱエイセイの声は独特で響くな!」と嬉しそうに言う 「エイセイでヨニーのCM作るわよ! その前の前哨戦よ!知名度上がらないと誰?となるからね!」 そりゃかなりの知名度は上がっただろう! 竜馬は瞳を輝かせ「CM?しかもヨニーの?なら頑張らなきゃ!」と嬉しそうだった 中澤は観客席からエイセイの歌が聞こえ 「烈………最高のエールだよ!」と感激していた その日の試合は中澤の完全なるパフォーマンスで完全勝利となった事は言うまでもない イーサンは「リーダー!今日は最高の気分で飲めるってば!」と大喜びだった 観戦を終えて帰ろうとすると、テレビクルーが近付いて来た 試合終了後 控室に行き少し休憩を取った後のインタビューの選手は中澤広大だった 『今日のプレーは凄かったですね!』 中澤は「君へ捧ぐゴールだから!」と、笑顔で言う 意味深過ぎて突っ込めない…… だが中澤は続けて「俺は今まで負け犬根性全開で、俺を見捨てた奴等を見返す為だけに頑張って生きて来た が、そんな俺を見てあの人は…… 『貴方はさ誰の為の人生を送っているのよ? 今の貴方は前しか見えない猪と同じよ! 立ち止まり周りを見る余裕のない生き方してるだけ!誰の為に生きてるのさ!』 そう言ってくれ蹴飛ばした 俺を蹴り飛ばせる奴なんて滅多といない……… 俺はそんな貴方にサッカー人生賭けてゴールを捧げるよ! まぁあの人ならば『そんなの要らないわよ!』と謂うけどね!」と笑って答えた 記者は「ひょっとして、其れはあのちっちゃい子ですか?」と問い掛けた 「其れ謂うと俺、幼児趣味みたいじゃないですか!人生の先輩なんですよ!あの人は! 愛とか恋とか、そんな感情を全て超越して、人として尊敬する存在です!」 「彼、会場に来てましたね!」 「ええ、ケチなんで飛行機のチケットとホテルの費用投じて来て貰ったんですよ! じゃなきゃ来てくれないから!」 「ケチなんですか?」 「あ、此れはオフレコでお願いします! 彼の耳にはいったら怖いからね!」 全員 テレビで流れるよ!きっと!と思いつつ 終始笑顔でインタビューは終わった ニュースではエイセイが歌う姿と中澤のプレーがダイジェストで流されていた そしてそのラストに舌を出して笑ってピースする烈の顔が映し出された 康太はそのニュースを翌朝見て 「おっ!烈やんか! あ~広大ってサッカー選手やったんやな!」 と今更ながらの事を口にした 花山院楓雅は、この家の奴って肩書とか有名税にあやかる気皆無で本当に居心地いいと、今更ながらに想う だけど花山院も「広大ってサッカー選手だったんだな!」と今更ながらに口にする 一生は「何を謂うかと思えば………広大はセリアAで蹴ってた選手だぜ? まぁ飛鳥井にいたさに、国内に移籍してるけど、勿体ないと言われてるプレヤーなんだぜ?」と補足してやった 康太は「飛行機の中で無視されたって何時も言ってるよな?彼奴!」と笑って言う 「まぁ飛鳥井の家族はスポーツは観戦派だから、選手が目の前にいても興味ないのかもな………」 「まぁな、あの頃の広大は天狗だったんだろ? 宗右衛門は己を過信する奴は嫌悪の対象だから無視したんだろ!」 「其れよりも何時 烈はアメリカに行ったのよ?」 「知らねぇよ!オレに聞くな!」 康太がボヤくと翔が 「タダだし行くぞ!と一昨日の朝に行きました!」と告げた 「タダだからね………」 康太はもう何も謂う気はなくなった 一生も「タダで釣ったか広大………」とボヤいた 花山院は「ならば俺もタダで旅行に招待しよかな!七夕の夜は富士山眺めて露天風呂なんてどうです?」と家族に問いかける 清隆は「其れは良いね!」と乗り気で 瑛太も「神威喜ぶよ!」と露天風呂にお盆浮かべて飲む酒はおいしいだろうな、と思い浮かべていた CMの依頼来てて、条件が旅館借り切り交渉したのだった 康太も「おー!七夕か、夕陽に染まる富士山見ながらの露天風呂か!良いな!」と喜んだ 榊原が「七夕 雨が多いですけど?」と雨で露天風呂は……と考える 「………そう言えば此処最近は雨率、確かに高いわな! 彦星と織姫はもう新しい家庭があるから、今更会いたくもねぇから雨の方が良いから雨率高いんだろうな……」 とやけに現実味のある話をする 聡一郎は「康太!夢のあるお子様の前で止めなさい!」と止めた 響は「おりゃちめ?」 奏は「ちこぼち?」と不思議そうに口にする 聡一郎が「正式なお話はYouTubeで見ましょうね!」と言い二人を連れて行く その後を翔が一希を連れて行く 流生達はレイ 凛 椋を連れて「見に行こうね!」と言い連れ出す 榊原は「康太、ちっこいのの前で本当に止めて下さいね!」と止めた 花山院は笑っていた 瑛太や清隆 玲香も笑っていた 翌日 烈はどう言う訳か ヤンキーススタジアムにいた 【R&R】のメンバー達と竜馬が見守る中 始球式に来たのだった エイセイは「エール」を歌った このエールはスポーツを頑張る人達に贈る歌だった 伴走はなんとStrong Hi ヤングマンが呼び寄せたのだった エイセイが歌う中 烈はマウンドに登板した 「ピッチャー Retsu Asukai 」 アナウンスが流れると場内は歓声が上がった 烈は綺麗なフォームで投げるとボールはミットにバシッと決まった 烈はマスコット人形と手を繋ぎ、球場を回った メンバー達の所へ着く頃 エイセイの歌も終わりに近づいていた 悔いなく生きる為に 俺等は闘う為に牙を剥く 命を燃やせ 声が嗄れても 勝敗がつきそうになっても まだまだ逆転してみせる! 俺達の闘いはまだ終わりじゃない! エイセイはハァハァ息をして歌い切った 烈はそれを待ち、エイセイは歌い終わると烈の傍へと走って行った そして深々と頭を下げると、皆に手を振り戻って行った 通路に待ち構えていたヤングマンは 「春に始球式出来なかったから、思いが叶いました!」と泣いていた 烈は「叶ってないわよ!シャステナ出てないじゃない!」と辛辣な事を言う 「ならばワールドシリーズに来て下さい! あ、その前にも来て下さい!」 「ヤンちゃんのお願いならば出来る限りは聞くわよ!」 と言い着替えに向かった 控室に戻り、ジャージに着替えて 「ボク顔の傷まだ治ってないのに……」と恨みがましく呟いた 連日 烈はニュースやワイドショーを賑わし 「おっ!烈やんか!」 と母はテレビの向こうの倅を目にして言うのだった 【R&R】の事務所には配信させて下さいとの依頼が連日来ていた そして何故か? 中澤広大の「俺の履歴書」と謂うセリアAに入った頃に出した書籍が再び売れ出し、中澤の生い立ちに再びクローズアップされた 中澤広大の過去なんて知らなかった人達も、改めて過去が浮き彫りになり……… 少しだけ迷惑する家族が、肩身の狭い想いをしていた 烈は始球式が終わった夜 さっさと倭の国へと帰国した Strong Hiを引き連れて汚い外国人を増やして、飛鳥井の家に帰って来たのだった 烈  俺は足がもげたとしても走り続けるよ この命 尽きる瞬間まで 心に蒼い闘志を燃やして 俺はサッカー選手として証を残すよ だから君へ捧ぐシュートを決めるから! 中澤は【R】のロゴのネックレスに口吻 ゴールを目指した

ともだちにシェアしよう!