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Ⅸ モルゲン シュトルム①

遺棄衛星アルテミス かつて先帝オールトが、己が権力を誇示するために建造した疑似衛星だ。 オールト逝去により、アルテミスは宇宙空間をさ迷う巨大な荒廃衛星となった。 アルテミスの軌道に《鶺鴒》が引かれている。 操縦が思い通りにならなかったのは、アルテミスの引力のせいだ。 …………………………そうさ。 人も生物も、あらゆる物質が引力に引かれる。 この世界の物質の物質は引力に逆らえない。 (核もまた同じだ) 引力に引かれて、核弾頭がアルテミスに落ちる。 「地球に核は落とさせない」 屑の世界だけど あの人が愛した世界なんだ。 俺も世界の一部なんだ。 あの人が愛してくれる。 世界が残れば、あの人が愛し続けてくれる。 あの人が愛した世界を残したい。 あの人の生きた証を。 あの人が生き続ける証を……… 「動け!アルテミス!」 起動をねじ曲げろ。 《鶺鴒》の動力で。 核を乗せた船に向かって進め。 俺は世界を変えない。 あなたといた世界を変えたくない。 燃やしたくない。 世界を残すために。 俺が起こす最初で最後の暁の青嵐だ。 《鶺鴒》エンジン圧がレッドに突入した。 まだだ。 もってくれ、《鶺鴒》 あなたの設計した船なら、この世界を守ってくれる。 俺を守ってくれる。 「信じてるよ、クラウス殿下」 さようなら。愛しき屑の世界………

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