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終章

「まさか、あの者たちが愛し合っているとはな」  天上界に戻った神は、ぽつりと呟き、柔らかな笑みを浮かべる。その視線の先には、地上で抱き合う宵娯と侑惺の姿があった。  実は、かつて桜の精と愛し合っていた時、子ども代わりとして自分たちの魂を割いて二人の人間をつくった。宵娯は桜の精の魂を、侑惺は神自身の魂を受け継いでいる生まれ変わりのようなものだと、あの瞬間に悟ったのだ。  そしてそんな二人が愛し合っているとなっては、いつまでも小さな心でくだらない呪いなどかけていられないと反省した。二人がいつまでも愛し合うことこそ、神の至上の喜びだ。 「来年の桜は少々長めに咲かせてやりたいものだな」  神がそう呟くと、近くに控えていた神官のマトリは眩しそうに微笑んでいた。

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