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第103話 恋人たちの時間
沢井は黒崎を強く抱きしめた。
そのとき、黒崎の下腹部に沢井の勃起が触れ、それに気づいた彼が恥ずかしそうに告げてくる。
「沢井先生……、先生の……」
最後のほうはもう消え入りそうな声だった。
「ああ……、いいんだよ。オレは」
「でも……」
気を使ってもらうと逆に恥ずかしい。
「いいから。おまえが自分のことだけ考えてればいいの。……ほら、もう一眠りしろ」
沢井はそう言うと、黒崎の頭をポンと優しく叩いた。
「沢井先生は……?」
「オレも一緒に寝るよ。今日は夕方からのシフトだし」
沢井の言葉を受けて、黒崎が呟く。
「あ……、オレ、今日は朝からだ……」
「バカ! おまえは少し休むんだ。……あ、でも今夜一緒に行って、おなかのCT撮ってからな、休むのは」
「そんな、本当に大丈夫ですから……」
「ダメ。……とにかくもう眠れ」
「……はい」
目を閉じた黒崎の瞼にキスを落としてから、沢井はベッドを出ようとした。
「どこ、行くんですか? 沢井先生……」
彼がぱっちりと大きな瞳を開けて沢井を見つめる。
「……このままじゃ眠れないから、ちょっと処理してくるだけだよ」
沢井は苦笑して、勃ちあがったままの自分の下半身に目をやった。
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