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肉豆腐12

ホテルを別々に出て 夜道を帰る。 尚之はオンナの家にでも行くのかもしれない。 途中でコンビニに寄って 適当に酒とツマミを買い ビールのプルを開けて 歩きながら飲んだ。 家に帰る前に一度店に寄らないとな。。 今日と明日は休み。 一週間に一度だけの休みが 第三週だけは二連休。 仕事は好きだし 充実してるけど 二連休がくるとやっぱりホッとする。 とはいえ新メニューを考えたりなんだりで 最近はあまり休んでもいない。 休むと 一人でぐるぐる ロクな事を考えないしな。。 体を動かしてる方が気が紛れると結局店に出て。 で。気まぐれな呼び出し。 断れずにほっぽり出して会いに行って。 余計疲れてんじゃねーか。 バカだな。。ホント。 終われば虚しさだけが押し寄せてくる。 でも終わらせられない。 何回か その手の場所で体だけの関係も 持ってみたことはあったけど 結局 余計辛くなっただけだった。 気持ちが繋がらない関係は無理。 そう思ったけど。 そんなの。 今だって変わんねえか。 ふっと自嘲気味に笑い ビールをグビッと飲む。 試作品を途中で放ったらかしてきたから 続きやんないと。。 プライベートが最悪な分 仕事はちゃんとしていたいし。 散々責め立てられ身体中が痛い。 男だから多少無茶してもいいとか思ってんだろうな。 優しくして欲しいとか言った事も無いし。 して貰った事もない。 俺の作った物を食べてくれた事もなければ 俺のしている事に 何の興味も無い。 甘えた事も。 愛して貰った事も。。 身体がグッタリしてビールが回る。 ふらふらと歩いて 路地を入り 店の看板が 見えたと思ったら 暗がりの中 ガードレールの上に座る人影が目に映った。

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