74 / 74

カフェオレ㊳

荒れ 強張った気持ちが緩むようで。 あんなに泣いた事もない。 何だろうな。 春といると どこか懐かしい。 幸せだった頃を思い出させる。 覚えてもいないのに。。 戻しておいてくれたんだろう。 仏壇の遺影へと目を向ける。 その横には親父が大事にしていたらしい 一眼レフのカメラ。かなり年代モノらしい。 アルバムの一番最後の写真は祭りの時。 あのカメラの中に残っていたフィルムを現像し じいちゃんが貼ってくれた。 俺ばっかじゃなくて 自分も撮ってくれてたら 良かったのに。 遺影の写真も若い頃の物だ。 両親が殺された。 その事を考えると 胸が苦しい。 今更 何も出来ないし。 もし 自分が原因なら この街にもいられない。 みんなに迷惑をかける訳にはいかない。 大事な物が手からぼろぼろと零れ落ちる。 針が心臓に刺さるように 痛くて。 辛くて。 怖い。 でもアイツの腕の中でゆっくり眠らせて貰って 少し 気持ちが落ち着いた。 なんだろうな。。 ホント。不思議な奴だ。 カフェオレに口をつける。 ・・旨い。 ちゃんとコーヒーもドリップして。 どんどん色んな事が出来るようになってる。 春はサンドウィッチが乗った皿を持ち 俺の隣に胡座をかくと はい。と一個差し出した。 いただきます。と パクリ齧り付く。 ベーコン、レタスにトマト。 マスタードが効いて シンプルで旨い。 外食じゃなく 俺の為に作ってくれた物。。 多分 今まで 飯なんか作った事無かっただろうにな。 最初は包丁を握る様子も危なっかしくて。。 コイツは怖くなかったのかな。 何も無い。ゼロから ここで始める事を 怖いとは 思わなかったのか。。 「春さ。」 「はい。」 カフェオレに口をつけていた春が顔を上げ 俺へと視線を移す。 「飯食ったら 何があったか。聞いてくれるか。」 春は しばらく黙ると 小さく笑みを浮かべ 「はい。」 力強く頷いた。

ともだちにシェアしよう!