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恋するコンビニ
※BLお題ったーを利用して書き下ろしました。
診断結果:ツンデレコンビニ店員×クールコックのお風呂話
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最近のコンビニ食材は侮れない。
俺が恋人の拓海と初めて会ったのは近所のコンビニで、
「ねえ、大和さん。初めて会った時のこと覚えてる?」
狭い湯船に二人で浸かっていると、拓海はいつもあの時のことを口にする。拓海は行き付けのコンビニでアルバイトをしている大学生で、初めて会ったあの日、拓海は俺が買ったもののレジ打ち中に盛大に腹の虫を鳴らした。
なんと言うか、その時、可愛いと思っちゃったんだよな。俺はゲイで拓海はどう見てもノンケだったが、それから、それ以上に足繁くその店に通った。
そもそもコンビニにちょくちょく足を運ぶのは、真夜中に何か食べたくなった時に食材が切れていたりするからで、こう見えて俺は洋食屋の料理人で基本的に家での食事も自炊している。
ただ、元来の面倒臭がりの性格のせいで、コンビニ食材を使ってちゃちゃっと作る手抜き料理が多かった。
「あの、これ。もしよかったら」
拓海の腹の虫の鳴き声を聞いて、俺は思わず拓海に話し掛けた。ポケットに入れっぱなしだった俺の職場のランチの無料券をレジカウンターに置き、購入した食材を持ってコンビニを出る。
その時はクールを装っていたが、正直、舞い上がって何を話したのか覚えていない。ただ何度も礼を言って頭を下げる拓海が可愛くて、拓海会いたさに前以上にそのコンビニに足繁く通った。
「さあ、どうだったかな」
「大和さん、腹が減ってた俺に無料券をくれて。あん時の大和さん、滅茶苦茶かっこよかったなあ」
その甲斐あって拓海 の胃袋を掴むことに成功し、今に至っていたりする。
「大和さん、コンビニの食材でちゃちゃっと料理を作ったりさ、さすが有名洋食屋さんのコックさんだよね」
拓海が料理人のことを言う、コックさんと言う言い方が好きだ。
「たいしたことないさ」
「あるよ! たいしたこと」
鼻息も荒くそう言い放った拓海の瞳はキラキラと輝いていて、拓海を見てると実家のポチを思い出す。柴犬にしては育ち過ぎなとことか、ちょっと抜けてるところも拓海とそっくりなんだよな。
「だって、コンビニだよ!? コンビニの食材であんなに絶品なビーフシチューとか普通なら絶対作れないって!」
いや、そりゃ曲がりなりにも洋食屋のシェフだからなと口から出かかった一言を噛み殺す。可愛げがないのは分かってはいるし、たまには言いたいだけ言わせてやるかと、まだ力説している背後の拓海に寄り掛かった。
「風呂から上がったら、コンビニ食材で作ったドリアを食わせてやるよ」
「マジで!? 大和さんを食べた後に、有り難くいただきます!」
END
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結局、何を勘違いしたのか、わんこコンビニ店員×クールコックのお風呂話になりました(笑)
2019/10/30
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