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第1話

頭の中で何度もリピートされる愛しい声、甘く低く、その声はいつも俺を魅了した。「愛してる」「好きだ」「お前が一番だよ」嘘かほんとかも分からないその台詞は俺を縛り付けて放さない。信じていた。否、今でも信じている。馬鹿だアホだと笑われたって構わない。俺は先輩を、…春樹さんを、誰よりも一番に愛している。 *** 俺の恋人は一個上の先輩。 知り合ったきっかけは確か、自販機の前で何を買えばいいか尋ねられたからだった。 「ねえ後ろの子、ココアとコーンスープ、どっちがいいと思う?」 寒い冬の日だった。 後ろを振り向いた先輩は、よく見知った顔。校内でも有名な彼女が日替わりする、イケメン。もちろん俺が一方的に知っていただけで、そのときの先輩は俺の事なんか少しも知らなかっただろう。 それから何度か会うたびに話しかけられて、俺はいつのまにか先輩を好きになって、告白して、付き合うことになった。 最初は幸せだった。 あんだけ彼女がたくさん居た先輩は女遊びをぱたりとやめ、俺と一緒に帰るようになり、俺だけに愛の言葉をささやいた。

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