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第5章の13←マリアの君、武道館に参上!

 ZENN作曲のギルティーズのテーマが流れれば、武道館の一万人の観客は総立ちになる。 トップバッターがインディーズの新人ということは百も承知。 でも、こよなくギルティーを、グランデを愛するファンには、ギルティー・ミュージックのメンバーはとにかく応援したい存在なのである。  炸裂する音は、一万人の鼓動を撃つ。  MOONが、武道館に出現したのだった。  オーディエンスは、五人から放たれる迫力に圧倒される。そして…次に客席の視線は彼を追う。  マリア。  ZENNにステージ・ネームをもらったただ一人のミュージシャン。 あの美しい堕天使。 動く実物の力強い動きに、新人離れしたギターソロに客席は安心し、そのうちに惹かれ始める。  曲が進むうちに聴衆は落ち着いてMOONを認め始めた。  ある者は彼らをギルティーの一員として、あるいはメジャーに行ける実力を、またある者は自分の最愛のバンドとして。  ラストのセッションも、客席はびっくりだった。 麗華についてマリアが登場してきたからだ。 ステージから咲きこぼれんばかりに勢揃いした帝国の派手な面々の前で披露した、名曲と言われる「ROSE」のマリアのギターソロは注目の的だった。  そんなマリアを、由真は一人でスタンド席からオペラグラスで見守っていた。  この一万人と渡り合ってる、あの美しい人は、実は私だけのもの、と。ZENNさんのドラムにも負けない天才的な新人は、私だけの恋人、と。

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