69 / 100

第5章の14←年末が忙しいマリアの君

 まだまだ未熟な面もあるのだが、その気迫、ステージの華は、ギルティーとして決して恥ずかしくないもので、 この成功でMOONとマリアに対する問い合わせは殺到し、マリア達のスケジュールは、 メジャー・デビューに向けて殺人的の一歩手前にまで加速していきそうだった。 それで、とうとうメンバーは引っ越しをすることになってしまった。  行かないで、とは言えず由真はただ泣いていた。  マリアも何も約束できるわけではない。 由真をその部屋に一度案内し、合鍵とポケベルを渡すくらいが精一杯だった。 それでも由真は喜び、マリアに呼ばれた週末は、電車で片道一時間半の道のりを通ってきたのだった。 前の古いアパートとは違い、一応今風の作りのワンルーム。 由真が気に入ったのは狭くてもバスルームがあったことだった。 彼女につられて、最初のうちマリアは、よくそこで彼女と抱き合っていた。  しかし、初めてのクリスマスは、彼女のそばにいてやることはできなかった。

ともだちにシェアしよう!