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第6章の6←マリアの君への風当たり

 しかし、鳴り物入りのデビューだっただけに、歓迎の裏には風当たりも厳しかった。 「歌謡ロックと言われました。」  ZENNの横でマリアはすねてしまった。 「言わせておけ。」 意外にもZENNは軽く言うと、 「向こうのノリに近ければ近いほどカッコいい、ピュアと言われる。 それも確かにそうかもしれない。でも多くのオーディエンスにウケるのは、 俺達のような日本人好みの曲なんだ。 時代も変わるが、俺達やその前のミュージシャン… お前のお父さんも含めて、そういった先人の努力で、日本人の、何て言うかなあ、 血中ロック濃度はどんどん高くなっていく。俺はそれでいいと思うんだ。」 それを聞きながら、マリアはロックではない音楽がまだまだチャートを占めていることを思い出していた。 「さらに言わせてもらえば、人にも、バンドも、それぞれ天から…と俺が言うのも妙だが、与えられた運命ってものがある。あっち風にやるのが天命のバンドもあるだろう。 ROSEやMOONのように、多くの人に愛される、わかりやすい曲を作って、ロックの間口を広げるバンドだってあるだろう。」     クラシックをやっていたマリアは他のメンバーより以上に、音の深さへのこだわりがあるようだった。 彼の肥えた耳、音以上の音を聴く耳はバンドの宝だと、マリアの周囲の誰しもが認めていた。  しかし、その人一倍の音のこだわりは、表現すべてのこだわりにも通じ、それが彼自身の、さらにはバンド全体のハードワークになっていった。

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