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第1話

「パンケーキ、美味しかった!」 週末。時間が出来た僕達は街に出掛けた。 「リンゴのパフェも良かったな〜。さすがシメパフェと言われてるだけある!でも、さっきのおかずパンケーキも……たまごのトロッとした感じと甘い蜂蜜が相まって……」 そこまで言い掛け、はっとなり足を止める。振り向くと滝谷君よりも足を進めていることに気付いた。 「あー……ごめんね。せっかくの休みだったのに。僕の行きたいところばっかで」 ほぼ付き添い状態であった彼は僕の隣でお茶ばかり飲んでいた気がする。彼と過して分かったことのひとつは"彼は甘いものがあまり好きではない"ということがあったのに。 頭を下げる前に滝谷君の手が自分の手に触れる。 「ううん。オレも楽しかったし、美味しかったようで何よりだよ」 朗らかに笑う彼のこの状態を、世の中ではパーフェクトスマイルというんだろう。 身長一八五センチの高身長で脚が長い。卵型の小顔であどけなさが残り、真珠のように目が綺麗で大きい。出会った時はそのパーフェクトさに、さらに緊張した覚えがある。 「それに、創真さんの幸せそうな顔を見るのが大好きだし……」 横を向いた顔が赤い。耳まで真っ赤になっている。 キューンと胸が締め付けられるのは日常茶判事だった。 「もう遅いし、何か食べていく?火鍋でも行く?この間取材したお店、美味しかったし!僕、奢る……」 よ。その一音は下半身からやってくる感覚によって遮られた。 「も、もー、滝谷君。それは家に帰ってから……って……」 むにっ、むに。肉を掴まれるのは一度ではない。段々と丘に向かって手が進んでいく。 ーーでも、それを不快には思わなかった。 「んっ、ふぅ……はっ…ぁ……」 「お尻、気持ち良い?創真さん」 耳元の近くで声がした。別にわざと低くしてもなければ熱く囁いている訳でもない。 ゆっくり揉まれては、ぎゅっと強く掴まれ、ピリピリとした甘い感覚が自分の大きく肉付いた尻から背中を通って脳に伝わる。 「う…う、ん。きもひ、気持ち良い……っん……」 痺れるような快楽に堪らなくて、人目を気にする間もなく僕は滝谷君の肩に顔を埋めることしか出来なかった。

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