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第2話
「おいで」
下着まで全て脱ぎ終わり、僕はベッドに座る糸を一つも纏っていない滝谷君に抱き着いた。肌からはリンゴのいい匂いがする。同じジャンプーを使っているはずなのにドキドキが止まらなかった。
「創真さん、触っていい?」
あえて確認をしてくるのはプレイの一つなんだろう。脱いでいる間も忘れずにいられなかった感覚を求め、こくんと頷く。
僕の尻は大きい。いわゆるデカ尻というやつで、スーツを着てお辞儀をしたなんか時にはどんっと目立つ。遺伝的なものや職業柄もあるがそれは言い訳に聞こえてしまうんだろう。三十路を過ぎてもつい最近まで毎週、スイーツ巡りや大盛りどんぶりを食べに行っていたのだから。
もみっ、むにっ、むちっ。効果音がつくならきっとこんな感じだ。高校生の時はいか目立たせないか必死だったし、風呂上がりに揉んではため息ばかりついてたな。
滑らかな指と指が僕のだらしない尻肉を掴んでは揉み、優しく摘むように揉んだかと思えばいたずらするように肉をたぷたぷとつついたりする。
「やっ……ぁ……っふ……ぁ?!」
手ではない柔らかい感触がし、後ろを見る。イケメンな滝谷君が僕の尻に顔を埋めていた。突然のことに混乱して言葉が出ない。
「っ、あ…ぁ…!!」
強い息が表面に当てられる。とても熱かった。
「滝谷君っ!そこ、汚い……汚いから、ね……!やめ、てね……!」
なんとか愛する人の顔をそこから退かせようとする。彼も一品くらいケーキは食べたはずだが、そのケーキに洋酒が使われてたとしても酔うはずがない。彼には僕の酒に酔ってる姿を何度見られたことか。
しかし、そんな静止の声は彼の耳には届かない。高揚とした顔がちらりと見えた。
「ふー、はぁああ………。創真さんの香りだ……美味しい汗と甘い香り……」
吸っては吐き、強く吸い込んではゆっくり吐き出す。僕の尻に興奮して。
「あ、あっ……ぁ……ひ、ぁ……っ!!」
お腹に腕を回され、がっしりと掴まれたから逃げることは出来ない。そのせいか彼の顔ーー特に口と尻が密着し、濡れた唇が時折触れる。まるでキスされるみたいに。吐き出された息は谷底に進み、小さな蕾に届く。
「ふ、ふぅう……っ♡」
「創真さんのお尻、可愛くて好き……あ、そうだ」
ふと離れられると脱力感が一気に広がる。ベッドから滝谷君の気配が消えたがそれはわずか数秒のことだった。戻ってきた滝谷君の手には何かが握られている。
ぼんやりする視界とあまり働いてない思考で
「それは何?」と質問する。
「創真さんの大好きなもの」
「大好きなーーひゃわっ!?」
男には似つかない悲鳴を上げたことに恥じるどころか、冷たいものが尻に乗せられる。それは徐々に動かされ一周したり、足の付け根に渦を巻かれたり、四方に何やらハートを書かれたりしてしまう。
肌の表面で柔らかく乗るそれの正体が分からず困惑していると、硬みのある熱い何かモノがふにふにと尻を触った。ただ、それがナニなのかは直ぐに分かってしまう。
「待って、滝谷君……!!せめて、お尻に乗せたの何なのか教えて?」
「うーん?生クリームだよ。創真さんのお尻を生クリームでデコレーションしてみたんだ」
生クリーム。滝谷君の口から出てきた言葉を心の中で咀嚼してみるが、あと少しのところで遮られてしまった。
両端に尻肉を開かれ、蕾にピタリと性器を当てられる。
「いただきます」
「へっ、ちょっとま………、っっ…♡♡♡!!!?」
ずんっと勢いよく挿入れられ、目の近くで火花が散る。自分のよりも二回りほど大きく太い逸物は直ぐに僕のナカを満たす。
「ふぅー♡♡ふ、っ……ふぅ……♡♡」
枕を噛み、快楽に耐えようとするがまるで意味がない。奥を突かれる度にナカは締まり、ピクピクと痙攣を起こす。ウエストを掴んでいた手が尻を撫でれば足の先がツンとなってしまう。
「うわあ〜凄い。いやらしいケーキがオレのを飲み込んでる。創真さん……っ。気持ち良い……??」
「気持ちっ、気持ち良いっ……♡♡」
(お風呂でたくさん解してきたけど、こんなにすんなり入るなんて思わなかった♡滝谷君にもこんな姿を晒したら更に変態だと思われちゃう……♡)
決してドMという体質ではないと言いたいが、出会った頃から執拗に揉まれてる間に尻が性感帯になってしまった。
「あ、もう……イキそ……!!」
「っ、ぁあああ……〜〜♡♡♡!!!」
広がる熱い欲望。飲んでいなくても分かる濃いそれは腹の中を満たしていった。
溶けた生クリームが結合部に流れ落ちてくると、ひんやりして気持ち良い。ドロドロに溶けたクリームはこれまたドロドロの精液と一緒に混ざり合ってひとつになっていく。
「ん、ねぇ……。オレの名前を呼んで?」
「なま、……滝谷くぅ……」
ベチンッ!
「おっ、ほぉ…♡♡!!」
空気を割く乾いた音。振動から痛みに変わるのはそう時間はかからなかった。
「呼んで?」
「ま、滝……っ」
ベチンッ!!
「あっ♡、っ……ぁ、い……♡♡」
「オレももう子供じゃないっ、よ?」
パシンッ。ペチンッ!!
「あぁあ♡♡♡!!!」
(呼ばなきゃ。滝谷君の名前、呼んであげなきゃ)
そう思っているのに口の端からは涎が垂れ続け、絶え間ない浅い呼吸が出てきて、たの言葉さえ出てこない。きっと残ったクリームは弾け飛び、背中に跡を残しているだろう。
そんな姿を晒していると、上から笑い声が聞こえてきた。
「三十五歳の創真さんが二十歳になったばかりの彼氏に尻叩かれて気持ち良くなってるんだ〜」
「ふっ、お……ぉ♡♡!!」
ヒュンと風を切る音が聞こえ、降ろされた手から大きな音がした。ナカを圧迫する気持ち良さと尻へのお仕置きーー紛れもない快楽にもう耐えることが出来なかった。
シーツに欲望を吐くが、息をつく暇もなく激しく上下に動かされる。
「呼んで?呼んでくれないと、もっと変態にさせちゃうよ?」
(また、声……近い……っ)
今度は熱を含んだ声。わざと息を含ませて囁いてる。
「あなたの恋人なんだよ?」
息を吹きかけられるとゾクゾクとし、叩かれた所からヒリヒリした感覚が合わさって脳が痺れてしまう。涎と汗でシーツは濡れていた。
ーーだけど、君は。
「それとも、してほしい……」
「そーくん」
君と僕は年齢が違う。出会った頃はまだ君は高校生だった。ジェネレーションギャップだってあるし、世間的に見ても僕らのことをおかしく思う人が多いだろう。
「そー……くん。蒼真……君」
僕を助けてくれて一緒にいてくれる本当に優しすぎる君だからこそ、僕以上に我慢させてしまっている。別に我慢させるのが好きじゃないんだ。
「ぎゅー……して?ぎゅっとしてぇ……。蒼真君の顔が見たいです……」
「…〜〜っ!!も、創真さんの甘えた……!!いいですよ」
視界が反転したと思えば、体が宙に浮いて、
「わっ、ぶ……っ」
質の良い筋肉がある胸へと顔を押さえられた。柔らか過ぎない胸筋はとても暖かく、濃い男の香りがする。
彼の腕が背中に周り、さらに密着する。
「創真さんのお好きな抱っこだよ」
胸から顔を離すと、彼は眉を寄せながら耳を真っ赤にさせていた。
(今日のと一緒だ。可愛い)
「うん。蒼真君との抱っこ、大好き……」
僕も腕を回し、笑顔で彼に言う。
暖かくて優しくて。今もトクトクと心臓の音に癒されてしまう。
「あれ?なんで……大きくなって……??」
「創真さんが、可愛いことするから……っ」
「あっ♡、待って……待っへぇ……♡♡」
腰を掴んで運動を再開させられる。彼の背中に回した腕をもっと強く締め、僕は迫り来る快楽に備えた。
「創真さん、これからももっとオレの名前読んで?」
「あっ、あっ……ふぁ……♡♡!!」
「もう、オレを創真さんの好きなようにしてもいいんだよ?」
「やっ…ぁ……ま、へ……っ、そこ、当てないでぇ……♡♡
「イッて、創真さん……。今度は……ううん。これからはずっとオレがあなたの全部を一番近くで見ててあげるから」
甘い。優しい。激しい。苦い。嬉しい。
「僕を、見て……僕のイクとこみ……っ、ぅあああ♡♡♡♡」
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