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【ようこそ 性欲処理課へ!! ② ただ頭を撫で合うだけの話】
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【キャラ紹介】
*マグロ
処理課の係長。タチネコ両方。寡黙且つ無表情だけれど怖い人じゃない。同僚兼恋人のショタにはかなりデレているつもりだが、それを知っているのはショタだけ。
*ショタ
処理課の一員。ネコ専。可愛らしい容姿とは裏腹に実は腹黒守銭奴。同僚兼恋人のマグロには全力で愛を伝えているが、本人は伝え足りないけど恥もあるというジレンマ。
職場で毎日セックスをするマグロとショタは、同じ課で働くゴリとBBに呆れられる程、筋金入りのバカップルだろう。仕事をこなしている平日だけでなく、休日もほとんど一緒に過ごしている程だ。
二人の出勤時間は、ゴリとBBよりも早い。理由は……事務所に早く行けば行く程、早く長く触れ合えるから。
「マグロクン、好きだよっ」
マグロ相手に好意を伝えるのは、ショタにとって何よりも充実した時間だ。
そしてそれは、マグロにとっても同じことだった。
マグロの膝の上に座り、上機嫌で顔を上げているショタの衣服は乱れている。マグロもマグロで、スーツが少しだけ乱れていた。
「…………」
寡黙なマグロは無表情のまま、ショタの頭を撫でる。不器用な彼の手付きは、いつもどこかぎこちない。
「えへへ~。マグロクンはいっつも撫で方がヘタだよねっ」
「……っ」
「あ、違う違う! ヤダって意味じゃないよ!」
無表情のまま動きを止めたマグロに対し、ショタは慌てて手首を掴む。
「もっと、して?」
あざとく小首を傾げたショタから、マグロが一瞬だけ視線を逸らす。周りから見たら『怒っているのか』と思われるような挙動だが、ショタにはマグロの真意が分かっている。
「あ、今照れたでしょ~? 分かり易いなぁ……えへへっ」
ついさっきまでセックスをしていたとは思えない程、純情なやり取りだ。付き合いたてのカップルと遜色ない初々しさにも見える。
甘えるようにマグロの背に腕を回し、体を密着させると、ショタは気持ち良さそうに目を細めた。
「マグロクンの撫で方はヘタだけど、ボクは大好きだよ」
「…………」
「『よく分からない』? 分かんなくてもいーのっ」
幸福そうに笑うショタの目元を、マグロは指で撫でる。その手付きすらもぎこちないが、ショタは満足そうだ。
背に回していた手を、ショタはマグロの頭に伸ばす。
「お礼に、ボクもナデナデしてあげよっか?」
「……」
「も~! そこはちゃんとおねだりしてくれないとヤダ!」
微かに瞳を伏せたマグロの返事を、ショタは当然分かっている。だが、言葉で聴きたいのだ。
人と話すことを苦手とするマグロの気持ちも、ショタは分かっていた。それでも、時には口で言わせたい。ショタは存外我儘だ。
――そしてそんな自分を、マグロが許容するというのも分かっている。
「……な、撫でて……ほ、しい……っ」
「どこを?」
「…………あ、たま……」
手付きと同様の、ぎこちない返答。ギリギリ及第点なおねだりだが、ショタは笑みを浮かべる。
「よくできました~っ」
小さな手が、派手な髪色をしたマグロの頭を撫でた。特に強くもないが、弱くもない絶妙な撫で加減だ。
「……上手、だと……思う」
「マグロクンよりはね?」
「…………少し、凹む……」
「カワイイ~」
手付きを真似てマグロは再度、ショタの頭を撫でる。
……何とも言えない、微妙な下手さだ。
「ふ、あはっ」
「…………」
堪え切れずにショタが笑いだすと、マグロは一瞬だけ口を震わせる。何かを言いかけて、瞬時に止めたのだ。
「あ、落ち込んじゃった? よ~し! 元気が出るように、ナデナデしてあげるっ」
「…………」
ショタが両手で頭を撫でると、マグロは少しだけ口角を上げた。……とは言っても、ショタにしか分からない僅かな変化だが。
不器用なマグロが頭を撫でる手付きは、マグロらしいからという理由で好きなのだが……そのことをショタはあえて、マグロには言わない。
――何故なら、それはあまり重要じゃないから。
「マグロクン、大好きっ」
結局ショタは、マグロからの行為だったら何でも喜んでしまうのだ。撫で方が上手くなっても、下手なままでも……ショタにとっては変わらない。
「…………オレも……」
その後、出勤してきたばかりのゴリとBBに呆れられるが……それはいつものことなので、割愛しよう。
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