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[第2話]憑依しないで
短編/ページ数未定/憑かれ体質/大学生/主人公受け/憑依/身代わりエッチ/オカルトコメディ/連載中
※腐女子が暴走してあれこれなお話なので、苦手な方はご注意ください。
* * * * * * *
人には誰しも人に言えない秘密があると言う。
そう。一見して平々凡々な俺にも、実は誰にも言えない秘密がある。俺は普通の人間には見えないモノが見えてしまうのだ。
彼女いない歴=年齢を更新中だが、今はそんなことどうでもいい。あれから何日か経ち、ようやく平和な日常が戻って来た。
「……ってか、玲先輩。トイレの個室まで着いて来ないでくださいよ」
んだけど。何故か成仏したはずの玲先輩が俺の周りをうろついていたりする。ってか、足がないからうろつくって表現は変か。
なんか、ふらふらと俺の後を着いて来る。ふらふらってか、ふわふわって感じ?
『いいじゃん。別に減るもんじゃなしー』
しかも、俺に憑依した時は喋れなかった先輩なのに、拓海先輩とエッチした後は喋れるようになっていた。しかも、成仏せずにまだいるし。
ちょっぴりセンチメンタルな気持ちで学校に行ったら、俺がいつも座ってる席に先輩が座ってるもんだから腰が抜けるほど驚いた。
いや、別にお化けが怖いわけじゃないからな?
当たり前だけど、子供の頃から幽霊を見て来たからお化けなんか慣れっこだ。特に交通事故系や飛び降り自殺系の幽霊の見た目はグロくて、普通の人ならそれこそ腰を抜かすレベルだろう。
だけど、死体と違ってにおいはしないからまだマシだ。実は魂が抜けた死体は見たことなかったりするんだけど、きっと吐き気を堪えるのに必死に違いない。
「てか、個室なんだから遠慮してくださいよ。何するかわかるでしょう?」
『うんこかオナニー?』
「そんな綺麗な顔でうんこって!! てか、オナニーなんか学校でしませんから!」
出来るだけ小声でボソボソ言ってるつもりだけど、トイレに誰か入って来たら大変だ。玲先輩は思ったよりもお喋りで茶目っ気もあり、楽しい先輩だったことに気が付いた。
大好きな幼なじみの拓海先輩の目の前で死んじゃった、玲先輩。玲先輩は拓海先輩に自分のせいじゃないよと伝えたくて、俺の前に現れた。
そんで、拓海先輩にちゃんと伝えて成仏したんだよな。俺の目の前で。俺の体から抜ける感覚が確かにしたし、それを最後に俺達(俺と拓海先輩)の前から消えた。
なのに次の日にはちゃっかり教室にいるんだから、最初は本当に驚いた。
『いやー、成仏しようとは思ったんだよ? でも、このまま霊でいるのも面白そうだし』
どうやら先輩は幽霊の気楽さが気に入ったらしく、まだこの世(ってか、あの世? どっちだ??)にいる。うちに居候している三人(ってか三体?)の幽霊にしてもそうだけど、成仏はしたものの生まれ変わるのが嫌なのかどうか、まだこの世に留まっている霊はたくさんいる。
もしかして、やっぱり拓海先輩に未練があるのかなと思っていたら、
『大正解! ただし、拓海とエッチが出来なくなるからだからね? カラダだけ欲しいって言うか。拓海にはちゃんと誰かと幸せになって欲しいから。それが加藤君なら大歓迎なんだけど』
そんなことを言い出した。
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