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第1章 シルヴァリオン 【8】なんて破廉恥な国だ
学園が休みの今日、ボクはシアーズ皇国の王宮に来ていた。
宮殿の一角にある皇帝の側妃である叔母様の宮殿で、従兄弟の第4皇子リュドミールの5歳の誕生日を祝うパーティが開かれていた。
積み上げられたプレゼントが皇帝の寵愛が深い叔母様と従兄弟の明るい未来を象徴しているようで、ボクも嬉しかった。
『学園はどうなの? オーディン様とは仲良くやっているの?』 と叔母様は心配顔だ。
とても良くしていただいていると告げリュドミールにプレゼントを渡す。
子供っぽすぎたかな?と心配だったけど、音のなる本も車のオモチャも気に入ってくれたみたいで、叔母様ソックリのふわふわローズブロンドとすみれ色の瞳の天使が抱きついてきた。
(血の繋がった子供ってこんなに可愛いのか)
現世でも親戚にボクより小さな子供がいなかったので、こんな小さな子に慕われるのははじめてのことだった。
(案外ボクって子煩悩なパパになれるのかもしれないな、現世に戻ったら良い所に就職して可愛い奥さんと2~3人の子供と素敵な家庭を築こう)と決意した。
その前にこの世界でも結婚するのかな?なんて考えながら料理をつまんでいると横から話しかけられた。
(えーっと…誰だっけ?どっかで見たような… あ!そうだ第2皇子だ)
オーディンほどの超絶イケメンではないが、それなりにプチイケメンだ。ボクの肩に腕を回すと隣の部屋に連れて行かれた。秘密の話でもするかのように、肩を組んだまま顔を寄せてくる。
『お前、オーディンとはとっくにやってんだろ?』
何を言ってるんだろう 頭を?でいっぱいにしていると、『まだ処女か、オーディンも慎重だな』とバカにしたように言った。
「オーディン様は男でボクも男だ、そりゃボクはまだ童貞だけど男同士なんてありえない」と肩に回された腕を振り払うと『15歳にもなってまだ童貞なのか』と更にバカにされる。
第2皇子は1学年下なのに、とっくに童貞じゃなくなっているらしい。
ガーン ボクはショックを受けた。
まさかオーディンも?と聞くと『当然だ、とっくに済ませてる上に、婚約者も性処理相手もいっぱいいる』と告げられショックの上書きをされた。
なんて、ふしだらな国に来てしまったんだ……
その日の夜、寝る準備をして【タカハシサン】に抱きついた時、またもや無断でオーディン様が部屋に入ってきてボクのベッドに腰掛けた。
今日、第2皇子と何をしてたのかと問い詰められる。
あの場にいなかったのに、どうして第2皇子と話してたことを知っているのか?第2皇子に聞いたんだろうか。
だとしたらオーディン様も、ボクのことを童貞とバカにしにきたのか?
ボクは質問に答えずに逆に質問をした。
「婚約者がいるの?」
「ああ そうだな数人いるな」
数人…マジか。
「セ…セフレもいるの?」
「性欲解消の相手は用意されている、それがどうした?」
なんて破廉恥な国だ…だったら
「ボクにも紹介してよ!」
【タカハシサン】をギュッと抱きしめ、意を決して恥ずかしいお願いをしてみる。
いっぱいいるなら、その子の友達でもいいから彼女になってくれる女の子を紹介してほしい。
「ダメだ、シアーズ属国王家の結婚は皇国の了承が必要だ」
じゃセフレ?童貞卒業のための一人だけでも紹介してと願おうとしたけど、大魔王降臨のような怖い顔で睨まれ、それ以上お願いすることはできなかった。
この日ボクは、結婚相手の選択まで皇国に縛られていることを知った。
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