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第1章 シルヴァリオン 【7】タカハシサンとは誰のことだ?

(疲れる夢だったな…) 腰が重だるい感じがしてボクはベッドの上でデブアルパカのぬいぐるみを抱いて寝転んだ。 あんな所に指を入れるだなんて、まるでBLじゃないか。 ボーイズラブ、それをボクが知ったのは中学2年の時だった。 隣の席になった高橋さん(女子)が急にボクに相談を持ちかけてきた。 なんでも彼女が描いているBL漫画の主役にボクを使っていいか?とのことだった。 平凡な容姿でこれといって取り柄もなく、大人になった時『そんなヤツいたっけ?』って言われること100%のボクにだ。 なんでボクなのか?と聞くと、 『強気パーフェクト攻めx平凡受け』がいいのだそうだ。 ほのかに失礼だ。 今のボクは平凡な容姿じゃなく、しかも王子さまだ。 だったらボクが攻めになるんだろうか? (いやいや!ボクは、おにゃのこと童貞喪失したいんだし!!高橋さんの思い通りにはならないよ) 「タカハシサンとは誰のことだ?」 突然の問いかけに飛び起きる。 朝の日差しに金髪がキラキラと眩しい。 当たり前のように寝室に入ってくるイケメン皇子がそこにいた。 ヤバイ独り言が口から漏れていたようだ。 「あ…この、ぬいぐるみ! オーディン様が買ってくれたんでしょ?」 お礼を言い、これの名前を【タカハシサン】とつけたと誤魔化した。 ふーセフセフ 『珍しい名前だな』と楽しそうに笑ってくれた皇子がかっこよすぎて、やっぱ高橋さん的には【オーディンx平凡平民】が王道設定なんだろうな~っとチョッピリ残念に思う。 ん?残念?なんでだ? 学園での生活も1週間たち少し慣れてきた。でも相変わらず友達はいない。 オーディンと登校し、授業を受け、オーディンと昼食をとり、授業を受け、オーディンの生徒会のお仕事が終わるのを待つ ←(今ココ) 昼食をとってる部屋で待ってるように言われたが、前々から気になってた図書室に行ってみよう。 現世でもボクはTVや動画配信を見るより、本を読むのが好きだった。 図書室はとんでもなく大きかった。 蔵書の数も半端なく、3階分もの吹き抜けの壁全部が本で埋め尽くされている。 さんざん迷った挙げ句『シアーズ建国の歩み』と『現代産業と経済』と恋愛小説の3冊を借りた。 これでオーディンを待ってる間も退屈せずにすむ。 イソイソと昼食部屋に戻る途中、すれ違った生徒に話しかけられた。 驚いた…入学以来、初めてオーディン以外との会話だ、緊張する。 『どこの国から来たの?なぜオーディン皇子といつも一緒に登下校してるの?なんの本を借りてきたの?』 普通の会話が楽しくてしょうがない。 ボクも質問して会話を広げようとした時、後ろからゴゴゴゴと音がしそうな威圧感がして振り返るとオーディンが立っていた。 見間違いだろうか?一瞬恐ろしい魔王のような顔のオーディンが見えた気がした。 しかし勘違いだったようで、いつものさわやかイケメンが 『待たせて悪かったね、生徒会の仕事が終わったから帰ろう』とボクの本を持ってくれて右手首を捕まれた。 (ちょっと痛いんですけど…) ほんとこの人、力ありすぎ。 (男子生徒の名前も聞くことができなかったな…お友達になれそうだったのに) この日以降、この男子生徒をいくら探しても、二度と会えることはなかった。

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