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第1章 シルヴァリオン 【16】この世界でいいのね?

「行ってらっしゃい」と最愛の嫁に見送られながら、ボクは自転車の後ろにヘルメットをかぶせた長男を乗せ、サッカー教室に向かう。 かわいい嫁のお腹には二人目の子供がいる。 嫁は次は女の子がいいと言うが、ボクは無事に産まれてくれたなら、どっちでもいいんだ。 大学卒業後、地元企業に就職し、社内恋愛で嫁と出会って結婚、この小さな家は35年ローンで買った。 ボクの人生は順風満帆だ。 サッカー教室に着き、長男を預けて急いで家に帰ろうとしてるところをママ友に呼び止められた。 嫌な予感がする。 ニッコリと微笑むそのママ友は高橋さん。 そう、あのボクをモデルにBL漫画を描かせてくれと言った元クラスメイトだ。 なんの偶然か、長男と同い年の息子がいて、ご近所さんでボクの愛する嫁と親友になってしまったこの人は 「あさってのコミケでOOちゃんに売り子やってもらうから、あんたは子どもたちの子守役ね」なんて言う。 (ちょっと待てよ!うちのお嫁ちゃまは妊娠中だぞ!)って言いたいが、何故かこの人に昔から抵抗できない自分がいる。 彼女の後ろを見ると、気弱そうな旦那が申し訳無さそうに頭を下げている。 次の新作は、【超絶イケメン皇子(攻)x儚げ天使王子(受)】らしくボクをモデルに描くのは、やめたそうだ。 高橋さんがサンプルコピー本を渡してくる、いや興味ないですから! 興味ない―――んだけど、この皇子… 高橋さんがサッカーをする子どもたちの方に視線を移す 「この世界でいいのね?」 なんのことだ… 「帰りたいんでしょ?」 どこに…? 「まだ猶予はあるわ、ユックリと考えなさい」  悠然とした笑みで彼女はボクを暗闇に突き落とした

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