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第12話
―――― どう、して…どうして、こんなっ、激しく突かれてんのに…
「こんな、じゃ、全然、足りない…っ」
もう限界は当に超えているというのに、何度達しても物足りない。
やっと辿り着いたオアシスの、水を飲み干してもまだ飽きず、喉がカラカラに渇いた状態の、水を求める砂漠の遭難者のように。
腹の空かせた餓鬼のように、心も身体も満たされず、藻掻いた腕が空を掻く。
佐賀島の何もかも貪り尽くしてしまいたくなる。
この感情は何だと大和は思う。
怒りにも似た、この気持ちは。
「佐賀島ァッ!」
振り向きざま大和は佐賀島の分厚い身体に両足を巻き付けた。
「まだそんな余裕があるんですね」
貴方という人はと呟きながら、佐賀島は絡みつく大和の大腿部を掴み取り、腰の位置まで高く上げた。
更に片足を肩に抱え上げ、十字に重なり合って腰を打ち付ける。
「ヒッヒゥウッッ!!!」
バチュンバチュンと肌がぶつかり合う激しい音が響き渡り、大和は泣き叫んだ。体位が変わったことで密着度が増し、正常位より深い箇所を抉られる。何も施しのない竿を激しく上下させながら、エレクトした尖端から白濁した液体を迸らせた。
「ああ、大和さん」
その光景をまるで極楽浄土の景色でも眺めるかのように目を細め、佐賀島は見つめ、ブルッと身体を震わせた。
「ヒッ、んっ、ぃっ」
大和が半ば視界を移ろわせながら己の腹を掴む。
ドグンドグンと最奥に注がれるのは、佐賀島の分身だ。
「腹ん中、熱っちい…」
「まだまだ熱くさせて上げますよ」
佐賀島は「ん」と一つ唸ると、ジュルジュルに溶けた大和の中で精液以外の液体を注ぎ始めた。
「ん、あ、まだ、温かいのっ、腹ん中、入ってくるぅうぅううぅぅぅ」
「分かりますか?黄金水、浣腸してあげてるんですよ。まだまだいっぱい出しますからね」
「ふ、ぅんっ」
満足げに一息吐き、半ば寝言のように微睡んだ大和の中に、佐賀島のそれは熱く、長く注ぎ込まれ留まるところを知らない。
佐賀島は大和の身体を徐に掴むと、緩まった中で向きを変え、大和を膝の上に抱き起こした。
「ん、さが、しま、なっ、なに」
「風呂に移動しましょうか。これ以上布団を汚すのもなんですし」
「今更ですが」と付け加えつつ、佐賀島はいとも容易く大和の身体を持ち上げ、己も立ち上がった。
「ん、さ、が、しま、あっ、ふ」
不安定な状態に晒され、大和は佐賀島にしがみついた。
途端に知れるのは、佐賀島自身だ。
棹一本で支えられると、仰臥されている時よりも明らかに、佐賀島の物を体内に感じる。
「んっ、ふぅんっ」
佐賀島が歩く度に大和が声を漏らす。
佐賀島はその悩ましい声を耳元に響かせながら、寝室からガラス戸一枚隔てた扉を開けた。
ヒンヤリとした板張りの露天風呂は夜の帳に包まれて、照明を柔らかい光りに抑えられた浴室に、幻想的に水面を輝かす。
耳を澄ませばきっと、先ほどの大浴場より波音がよく聞こえてくるのが分かっただろう。より海に近い場所の客室は、海と空と、そしてこの露天風呂が一体となっているのがコンセプトだ。
しかし、
「は、もっ、あぁっ佐賀島っ、佐賀島ぁ」
目の前の少年と青年の間を行き交う大和には、知る余地もないのだろう。
浅い箇所を広げられまま放置され、涙目になって大木に蝉のようにしがみつき、自ら腰を振っては佐賀島の腹に擦れる尖端の刺激に懊悩する。
大人になれきれない大和にとっては、今のこの状況が生殺し以外の何ものでもない。
佐賀島は床の板張りにザァッと湯を流すと、その場に大和を仰向かせに横たわらせ、己の身を大和の中心にズウっと沈めた。
「ヒッッ」
深さに大和の喉から悲鳴が漏れる。
だがそれは直ぐに歓喜に変わり、佐賀島の怒張を締め上げた。
佐賀島もそれに応えるように腰を沈め、抽挿を徐々に激しく繰り返し始める。
「あぁあんんっ佐賀島ぁっ!」
引き抜かず、深い箇所を何度も小突き、抉るように触れるのは、最奥まで行き届いてしまった、あのボールだ。
普段より深く、あまり触れられたことのない箇所を刺激され、大和は佐賀島の腕を掴んで叫んだ。
佐賀島のソレが軽く蠢くだけで、大和は身体が弾けるのを抑えられない。
「大和さん、貴方、今、イキっぱなしなんですね」
「ち、違…っ」
「そう、ですか?」
「んぁぁぁあああぁあっ」
「ほら、中が痙攣してる。なのにこっちは達しもせずにビクビク撓らせて…」
「い、言うなっ、も、言う、なっ、ヒゥッ!!」
「言いたくもなります、よ。貴方の身体、どう表現したらよいか…」
今まで数多の女性を手にかけたが、これほど耽溺する相手など嘗ていなかった。
こんな情事の最中に、相手を殺してやりたくなるほどの憎悪と、それ以上の願望を抱く相手など。
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