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03

 ――生徒会室内。  先ほど固めた覚悟はあっさりと砕かれることになる。 「あれ、お前……」  静まり返ったそこには、人の影がひとつ。  こちらを振り向いた五味は、仮眠室から現れた俺を見てぎょっとする。  まさか俺が普通に出てくると思わなかったのだろう。俺も五味がいるとは思ってなかっただけに驚いた。 「ご、五味先輩……っ」 「おいおい、そこから出しちゃいけねえって言ったばかりだってのに……十勝のやつはなにしてんだよ」  溜息混じり、五味はぼやく。  出鼻を挫かれてしまったが、ここで折れるわけにはいけない。  俺は後ろ手にそっと仮眠室の扉を閉める。 「……すみません、俺やっぱり……」  全てを会長に任せっ放しにすることは出来ません。  そう五味を見上げれば、五味と視線がぶつかる。俺が何を言わんとしているのか五味もわかったようだ。五味の強面が強張る。 「お前……っ」  なにか言いたそうに口を動かした五味だったが、その先は言葉になることはなかった。  そして、諦めたように俺から視線を外した五味はそのまま深く溜息を吐く。 「お前も結構、大胆な真似するんだな」 「……すみません」 「いや。……そうだよな、それが普通の反応だ」 「あいつはやり過ぎなんだよ」と、誰に言うわけでもなく呟く五味。  その言葉が誰のことを指しているのかすぐに分かった。  そのまま五味はふらふらとソファーに歩み寄り、そしてどか。と腰を下ろす。 「でも、今この状況で下手に出歩かない方がいいというのには俺も同意だ。阿賀松の退学の件で取り巻き連中が殺気立ってる」 「それは……わかってます」  縁との一件といい、今朝の阿賀松からの電話といい、物事が良からぬ方へと転んでいるということは身を持って理解していた。  それに、阿佐美――阿佐美のことが気になる。  なにを言われても意見を変えようとしない俺に、諦めたように五味は眉間に寄った皺に指を押し当てた。 「もし、もしだぞ? ……もしここから出られるとしてもとっくにお前がここにいることもバレてるだろうし、出た瞬間阿賀松たちに捕まる可能性だってある。あいつのことだ、退学免除するためにお前をダシに使うかもしれない」 「……そうかもしれません」 「なら、悪いことは言わない。ここにいろ」 「それが一番安全だ」五味と視線がぶつかった。  五味が純粋に心配してくれているというのはわかる。  わかっているけど、既に俺の中にこのまま大人しくするという選択肢はなかった。 「元はといえば、全部俺のせいなんです。……俺が会長に無理させたのも、阿賀松を退学させようとしたのも」  そうだ――全部、俺が悪化させた。  この学校に来て、会長に話し掛けられて、優しくしてもらって、憧れて、そのせいで阿賀松に目を付けられて。 「俺が、悪いんです」 「それは違う」  珍しく語気の強い五味に、思わず肩が震えた。  そして、五味はソファーから立ち上がる。  まさかそんなに強く否定されるとは思わなかった。驚いて足が竦む俺の目の前、五味の影が重なる。そのまま両肩を掴まれ、息を飲んだ。 「五味、せんぱ……」 「お前は悪くないんだよ。……いや、悪い奴なんて一人も……」  五味はなにか知っているのだろうか。 「……先輩……」  そう、恐る恐る目の前の五味を見上げようとした瞬間だった――仮眠室の扉が勢い良く開く。 「五味さん、佑樹がっ! ……って、ありゃ……? 佑樹?」  ――十勝だ。  青褪めていた十勝は向かい合うように立つ俺と五味の姿を見るなり、きょとんと目を丸くした。  たった今起きたばかりなのだろう。寝癖のついた頭のまま、まだどこか寝ぼけた様子の十勝に小さく舌打ちをした五味は俺から手を離す。 「五味さん、佑樹になにを……っ! いくら彼女にフラれたからって……っ!」 「あーもううるせえ! なにもしてねーしフラれてねーし第一彼女って誰だよ!」 「五味さんのケダモノっ」 「この野郎……」  先程までの空気は十勝が現れたことによってガラリと変わった。  誤解する十勝に散々言われた五味は拳を握り締めて堪えているようだ。先程までの静けさが嘘のように騒々しくなる生徒会室内、俺は全身の緊張が緩むようだった。  それと同時に、先程五味が言いかけた言葉が頭の中で反芻される  ――誰一人、悪い奴なんていない。 「……」  お互い啀み合っている阿賀松と芳川会長、二人と過ごしてきてずっと胸の奥に突っかかるものがあった。  阿賀松のことは未だ苦手だけど、なんだかんだたまに、ちょこっとだけ優しくしてもらったこともあった。  会長だって俺には優しいけど、他の人たちには厳しいし、暴力だって振るう。  好きとか嫌いとかいい人とか悪い人とか、この際関係ない。  仲良くしろと無茶ぶりをするつもりはない。けれどせめて、誰も傷付いて欲しくない。  こうなった今でもそう願ってしまうのは、きっと既に関わってしまったからだろう。  俺に。  ――俺の世界に。 「今ちょっと大事な話してんだからお前は部屋に戻ってろ」 「えー! なんすかそれ! 第一佑樹の見張りに任せられたの俺っすよ!」 「ったく……ぐーぐー寝てたのはどこのどいつだよ」  呆れ気味に吐き捨てる五味に、「ドキッ」と肩を跳ねさせる十勝。  っていうか口で言ってるし……。 「ほら、いいから戻れ戻れ」  中々しぶとい十勝に痺れを切らした五味は半ば強引に押し戻す形で十勝を仮眠室へと追いやった。 「ちょっ、五味さ」  そして、十勝がなにか反論するよりも先に五味は扉を閉める。  ご丁寧に、鍵まで。 「あの、先輩……いいんですか?」 「いいんだよ、こうでもしなきゃこいつの場合暴れるから」  既に暴れているらしく、ドンドンと扉の内側から物凄い力で扉を叩かれる。  なにか叫んでいるようだが、防音が施された壁のせいでくぐもってよく聞こえない。  十勝のことも気になったが、それよりも今は目の前の五味だ。  五味がどういうつもりなのかわからず困惑していると、五味と目があった。 「こいつのことは俺に任せとけ。……適当に誤魔化しとくから」 「え……」 「行くんだろ、外。なにをするつもりかはわかんねえけど、お前が決めたことだ。俺にそれを邪魔する義務はないしな」  それって、もしかして、出ていってもいいということか。  どこか力抜けた様子の五味に、純粋に俺は驚いた。きっと反対されて、部屋に押し戻されると思っていただけに、余計。 「あっ……ありがとうございます……!」 「お礼なんて止めろ。俺はお前を見捨てるんだぞ?」 「安全じゃないと分かっててな」と五味は苦虫を噛み潰したような顔をするのだ。  だとしてもだ、俺はその選択をしてくれた五味が嬉しかった。  俺を信じてくれている――などと自惚れたことをいうわけではないが、勝算の少ない俺を外に出すということは少なからず五味に共犯者という役を押し付ける羽目になるわけだ。  そう考えた途端、罪悪感で心臓が握り潰されそうになる。しかしここまで来て、挙げ句の果て五味を巻き込んで今更後には引けない。 「……すみません、ちゃんと、ちゃんとこの借りは返します」 「……正午だ」 「え?」 「正午――十二時までに戻ってこい。風紀との会議は午前中までだ。それまでなら、まだ間に合うから」 「だから」と言いかけて、五味は言葉を詰まらせた。 「……まだ会長のことを信じる気があるのなら、頼む、十二時までに戻ってきてくれ」  そうすれば、芳川会長に対する裏切りにはならない。  五味の言葉に釣られ、俺は生徒会室の壁に掛かった時計に目を向ける。  現在時刻、十時十三分。  ――残り、一時間四十七分。  いつもなら持て余す時間だが、今の俺にとってそれは酷く短く感じた。 「わかりました」と頷く俺に五味はなにも言わなかった。  五味からいくつかの注意事項を聞いたあと、俺は生徒会室を後にした。  生徒会室出てまず、俺は辺りに人がいないのを確認した。  五味の言葉もあったからもしかして、と身構えていたが、幸いそこに人はいない。一先ず安堵し、俺はこれからどうするかを考えた。  ここからは慎重に動かなければならないだろう。  時間がないからこそ、余計。  まず一番に栫井のことが気になった。  だけど、栫井が阿賀松といることは間違いないだろう。  もしかしたら灘が既に栫井と接触している可能性もあるが、どちらにせよ阿賀松との対面は避けては通れない道だろう。だけど、わざわざ今すぐに通る必要もない。  ……それに、最悪阿賀松が退学処分決定した際には会う必要もなくなるのだから。  それを考えるならば、これからの学園生活でこのままでは一番俺が用心しなければならない連中は限られてくる――縁や安久を筆頭にした生徒会アンチ派の連中だ。  今回のことで縁が誰の味方なのか、どの立ち位置にいるかはある程度だが把握することができた。  縁は阿賀松の味方だ、口ではなんと言おうとも阿賀松と同じ思想であることは間違いないだろう。  だとすれば、なぜ生徒会を嫌うのか、会長を目の敵にするのか。  ……阿賀松は会長を人殺しだと言った。  俺がこの学園に来る以前のことはわからない。  だけど、一度調べてみる必要があるかもしれない。  会長を叩くためではない、出来ることなら人の汚い部分なんて見たくない。  今のままの手ぶらの俺では何したところで巻き込まれて流れに流されるだけだ。事を起こすにはある程度の予備知識が必要だった。  五味は話してくれなさそうだし、だとすれば……やはり栫井に聞いてみた方が早いかもしれない。  以前の栫井ならいざ知れず、今の栫井なら少しは協力してくれるかもしれない。  ……してくれたら、いいけど。段々自信がなくなってきた。  とにかく、灘と連絡取れないだろうか。  五味曰く、現在この階には生徒会関係者・教師以外は立ち入りを禁じられているそうだ。会長がそう手を回してくれたという。  わざわざそんな面倒をかけてしまうことに申し訳なくなる。  が、外部からの侵入を防ぐというということは内部からの退出も阻止するということになる。  その意味を考えると、なんとなく背筋が薄ら寒くなった。  考えながらでもいい、取り敢えず時間が惜しかった俺はこの階を移動することにした。  そして下の階へと繋がる階段までやってきた俺は、目の前に広がる光景を見て立ち止まる。  まるで檻のような鉄柵が天井と床、階段からの侵入を塞ぐように生えていたのだ。  何者の侵入をも妨げようとするバリケードは寧ろ壁といった方が適切なのかもしれない。   「っ、……」  どうしてこんなものが。  封鎖されていることは聞いていたが、まさかこんな設備が学園にあるとは思ってもなかった。  目の狭いその鉄柵に手を掛ける。小さく揺さぶってみるがビクともしない。  生徒会専用のエレベーターのことでも思ったが、この学園は普通の学校には必要ないような設備が多いような気がする。  あのエレベーターは会長が用意させたと聞いていたが、もしかしたらこのバリケードも会長が作らせたのだろうか。  そうでないとしても、なぜこれが必要なのかがわからない。  それを許可する学校側も学校側だ。  もしこれが必要なもので作らなければならないものだとしてもだ、このバリケードや隠し通路や専用エレベーターが必要な状況と言えば中々特殊なはずだ。  ――極端な例を上げるならば、テロリストかなにかが現れたときとか。 「おいッ」  そんなことを考えながらどうしたものかと考えていたときだ。  鉄柵の奥、階段の方から聞き覚えのある怒声が聞こえてくる。  顔を上げれば、一度見たら忘れられないようなピンクの髪が視界に入った――御手洗安久だ。  まさか、よりによってこんなタイミングでこいつと出会ってしまうとは。 「……っ」  どうしようか。ここは一旦逃げた方がいいかもしれない。  そうバリケードから手を離し、その場から離れようとしたときだ。 「待てよ! っ、おい……待てってば……っ!」  がしゃ、としがみつくようにバリケードに張り付いた安久に思わず立ち止まる。  なにか様子がおかしい。そう感じたからだ。 「……齋藤佑樹……っ」  喉の奥から搾り出すような掠れた声。こちらを睨む釣り上がった目。  どんな罵詈雑言が飛び出すのかとつい目を瞑ったが、待てども安久の口から罵倒が飛び出すことはなかった。  ……それどころか。 「……っう……」  ――う?  不気味な呻き声に恐る恐る目を開いた俺は、ぎょっとした。  歯を食いしばり、こちらを睨んでいた安久の目からぼろぼろと玉のような涙が溢れ出したのだ。 「えっ、ちょ……どうし……」 「お前のせいだっ!」 「……っ!」 「お前のせいで、伊織さんが……っ! 悪いのはあの眼鏡猿なのに……っ!」  相当切羽詰まっているのだろう、安久の言葉は要領を得ない。  いきなり怒られるのもあれだが、泣かれるのもあれだ。  そこまで叫んだはいいが、その先はとうとう言葉になることはなかった。 「う、うう〜〜っ」と獣のように唸り出したかと思いきや、次の瞬間には糸が切れたようにわんわん泣き始める安久。  今度こそどうすればいいのか分からず困惑したが、いかんせんバリケード越しじゃどうすることも出来ない。  もしかして俺を誘き寄せる為に嘘泣きしてるのだろうか。  なんて考えてみたが、あの高飛車で傲慢でおまけにすぐ癇癪起こす安久が俺の目の前で泣きじゃくって子供のように駄々こねるなんてことあるだろうか。プライド高そうだし、余計。  しかし、名前を呼ばれてしまえば無視するわけにもいかない。 「ちょっと待ってて……今、そっちに行くから」 「どこ行くんだよ、逃げるなよ!」 「逃げない、逃げないから。……待ってて」 「ごめん」と小さく謝り、俺は一旦バリケードから離れる。  逃げない。そうなんでもないように答えた自分に驚きながらも、俺は予め五味から教えてもらった抜け道を使い、安久の待つバリケードの外へ向かった。  バリケード外、階段踊り場。  隠し通路を使い、バリケード外へと出た俺を出迎えてくれたのは先程よりも落ち着きを取り戻した安久だった。  幸い、辺りには人気はない。 「遅いっ! 僕を待たせるつもりか!」 「そ、そういうつもりじゃ……」 「……」 「……」  すっかり機嫌の悪い安久に、俺は態度を決め兼ねていた。  いつもの安久なら芳川会長に加担した俺を殴るなり罵声浴びせるなりしてくるはずなのに、それがない。それどころか、こちらを睨み付ける赤く充血した安久の目は段々威勢がなくなっていく。 「……それで、あの、どうしてここに?」  何も言わない安久に仕方なく話題提示を試みてみるが、少し直球すぎたかもしれない。  じとりとこちらを見下ろす安久は「あんたこそ」と呟く。 「あんたこそ、なんでここに居るんだよ。生徒会室でのんびりしてたんじゃないのかよ」  既に俺の位置情報は出回っているようだ。  驚きはしないが、安久の質問には少し戸惑った。 「俺は……」 「伊織さんの心優しい提案を断ったくせに、なんで普通に出歩いてんだよ! 眼鏡猿がいるから怖くねーってつもりかよ!」  ああ、しまった。どうやら俺の存在は安久の精神を逆撫でしてしまうらしい。次第に昂ぶる安久にどうしたものかと考える。  そもそも俺だってなにも怖くないわけじゃない。本当は誰もいないところにいって閉じこもりたいくらい、怖い。  だけど、これ以上怖い思いをしたくない。それだけだ。 「……安久は、なんで泣いてたの?」  なにを返したところでブチ切れる安久の姿が見えていたので、敢えて俺はそのまま問いかけた。  瞬間、ひくり、と確かに安久の顔が引き攣った。そして、赤くなっていた目にじわりと涙が滲む。 「ぁ、や、ごめ……そういうつもりじゃなくて……」  また泣いた。怒りっぽいとは思っていたがここまで涙もろいなんて、よほど情緒が安定していないらしい。  無理もないが、俺は人に泣かれるのが苦手らしい。こういうときどうすればいいのか素直にわからなかった。 「安久……っ、て、え?!」  いきなり肩を掴まれ、殴られる、と反射的に身構える。けれど、安久の拳が飛んでくることはなかった。  それどころか、 「……っ頼む、取り消してくれ」 「え?」 「伊織さんの処分を取り消してくれ……ッ!」  そう安久は頭を下げたのだ。  目の前で揺れる派手なピンクの髪のつむじが見えた。その後頭部を見つめたまま固まる俺。  あまりの出来事に、俺は目の前の光景を受け止めるのにやや時間がかかった。 「あんたが、全部嘘だった、悪いのは御手洗だって……そう言うだけでいいんだ。そうしたら、全部収まるんだよ……っ」  頭を下げたまま、吐き出すように続ける安久の声は震えている。  怒りを必死に堪えているのか、俺なんかに頭を下げるのが悔しいのか、それとも別のものを押し殺しているのか――或いは全部なのかもしれない。  だけど、それでも安久の言葉が本心だということはわかった。  安久は良くも悪くも素直で嘘が吐けないやつだと俺は身を以て知っていた。 「お願いだ……っ! 伊織さんは悪くない、悪いのは全部あいつだ……っ! だってこんなの、可笑しいだろ?!」  次第に大きくなる安久の声。  あいつというのは、言わずもがな会長のことだろう。  正直、頭を殴られたような気分だった。  俺に頭を下げて頼み込んできたこともそうだが、安久がそこまでしてまで阿賀松を助けようとすることにだ。  ……前々から不思議だったが、俺には自分を犠牲にしてまで阿賀松を助けようとすることが理解できなかった。  安久にとってはいい先輩だったということだろうが、安久の様子からしてなんとなくそれだけではない気がしてならないのだ。 「……安久、頭上げて」 「……」 「どうして、そこまでして先輩のこと助けたいの?」  無粋だと思いながらも、聞かずにはいられなかった。  案の定安久に睨まれたが、噛み付いてくることはなかった。その代わり、唸るように声を絞り出す安久。 「質問の意味がわからない」 「いや、だからなんでそこまでして阿賀松先輩の……」 「伊織さんが退学処分を受けるのは可笑しいからに決まってるだろ。無意味な質問はやめろ」 「……」  あまりにも迷いのない目と即答っぷりに、今度はこっちが狼狽えてしまう。  安久にこの質問の仕方はよくなかったようだ。  もっと詳しい話を聞き出すためには阿賀松というワードを避けるべきなのかもしれない。  ……でも、その前に。 「……取り敢えず、場所、変えてもいいかな」  前例があるだけに安久と二人きりになることには抵抗あるが、いつ誰が来てもおかしくないこの状況で込み入った話はできない。  俺の提案に安久は相変わらず不機嫌な様子で「勝手にしたらいいだろ」と吐き捨てる。  まあ、拒んだり罵倒してこないだけましなのかもしれない。そう思うことにした。

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