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   輝雅には生理がある。故にスキンなしでの性行為は妊娠してしまう恐れがあるためできない。ここが無理ならば、と思ったところで梨央が「しょうがない、今日はペッティングだけにするか」と言った。 「えっ」 「え?」  なんで「えっ」なのか。梨央の顔にはそう書いてある。 「――――っ」  じわじわと、輝雅の顔が赤くなる。  輝雅は女性器が無理なら尻の穴でやればいいと思った。だが、梨央はそうではなかった。  梨央はそんな輝雅の考えに気づいたのか、目を見開いた。 「もしかして、輝雅、こっちが無理ならそっちで、とか……」 「――思ったよ! 思ったさ! 悪いかっ?」  ぶわっ、と顔を一気に赤く染めて吠えた。  顔を手で覆いしゃがみこむ。「まじかー」と呟く梨央の声が聞こえた。 「あのですね、輝雅さん」 「なにも言うな」 「さすがにそれは……」 「言うなって言ってるだろ! べ、べつにいいじゃないか! ケツなら妊娠しないっ」 「頼むからその顔でケツって言うのやめて」  梨央は立ち上がり、しゃがむ輝雅の元へ行く。そして同じくしゃがみ、俯く輝雅の頭を両手で掴み顔を上げさせる。 「無理矢理がすぎる」 「ちゃんと聞いて欲しいからなぁ。いーい?てるちゃん」  頭を掴んでいた手は移動して、輝雅の頬をうりうりとこねる。 「わかっていると思うけど、女の子のほうは絶対にコンドームなしはダメ。俺まだ輝雅を養えるほどお金ないから。んで、お尻の穴だけど、輝雅がお腹を壊す恐れがあるし……、それに愛しい恋人が性病に罹っちゃ嫌っしょ?」 「――――」  腹立たしい。  ドヤ顔で言っているのが頗る腹立たしい。  しかし、恋人関係にある人間が、自分のせいで性病に罹るのはこちらとしても寝覚めが悪くなる案件だ。ぐっすり寝てスッキリと起きたい。 「…………わかった」 「おーけー。じゃあ、ベッド行こっか」  優しい笑みを浮かべて梨央は輝雅を立ち上がらせる。 「……おれがリードするんじゃなかったのか」 「ペッティングになっちゃったからなー。挿れられない分、たぁくさん、気持ちよくさせていただきます」  ベッドに腰掛け、輝雅の服に手をかけた梨央に倣い、輝雅も梨央の服に触れる。カッターシャツのボタンはこっちからでは外しづらいと、梨央と付き合うようになってから知った。 「やりづらい」 「男仕立てですからー。輝雅、女仕立てにする?」 「梨央がしろ」 「輝雅のほうが脱がされる回数多いじゃん」  全てのボタンを外した梨央は輝雅の肌に触れながら服を剥ぎ取る。するすると腕を這っていく手が、心地よい。  梨央の片手を捕まえて、自分の頬にあてる。 「――いっぱい、きもちよく、して?」  猫のように手に頬を擦りながら挑発するように上目遣いに梨央を見つめれば、梨央はにやぁと楽しそうに笑む。 「仰せのままに、ダーリン」    

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