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夜中の12時。 突如流れ始めたbirthday melody。 「茨城さん、12時です。15日になりましたよ」 「え……ホントだ。日付変わったんだな」 怜のスマホから流れるオルゴールの音がホテルの部屋に優しく響く。 「これ、怜がセットしたのか?あ、おい急に……んっ」 ベッドの上に寝そべっていた俺に近付き、そっと唇を合わせて来た怜。 「…お誕生日おめでとうございます」 唇を離すと嬉しそうな顔でそう言ってくれた。 (なんで祝う方の怜がそんなに嬉しそうなんだよ) 「……お前、誕生日を一番最初に祝いたいヤツ?」 俺は照れてしまい、茶化すようにそう言ってしまった。 だがそんな俺の言葉すら愛おしいと言うように微笑む怜。 「茨城さんの誕生日なんですよ?あたりまえです」 「……そ、そうか」 「来年も再来年も、俺に一番にお祝いさせて 下さいね」 この年下の恋人は、俺を喜ばすのがホントにうまい。 (入って来たばかりの頃は可愛い新人だったのにな。いつからこんな男らしい顔をするようになったのか) 「…茨城さん」 「…ん?」 「好きです」 「………っ、はいはい」 「…茨城さんは?」 「だーーっ子犬のような目で見てくんじゃねえ。可愛いじゃねぇか」 俺は照れ隠しに怜の髪をかき混ぜる。 やめてください、と笑って怜が俺の手を取った。 そしてその手を自分の胸にあてる。 「…俺の心臓の音、分かりますか?茨城さんといるといつもドキドキしているんです」 「……俺だって、同じだ」 俺は怜の頭を引き寄せ抱きしめると自分の胸に押しあてた。 束の間、俺の心音に聞き入る怜。 「…ふふ、ホントだ。一緒ですね」 と言って俺の背に手を回してきた。 そんな怜が愛おしくて、怜の髪にそっと口づける。 「……俺も、怜が好きだよ」 しばらくの間 抱き合い、お互いのぬくもりを感じていると、怜がポツリとつぶやいた。 「…………すみません。茨城さん」 「…ん?」 「……勃っちゃいました」 「………え?」 怜はそう言うと俺の身体に、自分の硬くなった熱を擦りつけてきた。 「……いやいや、さっき散々ヤッたよね?」 「そうですね」 「……俺、もうムリよ?…出るモンも、もう出ない」 「日付、跨いだから大丈夫です」 「一時間も経ってねえよっ」 そうこう言っている間にも、怜の手が俺の身体をまさぐってくる。 「…ちょ、…マジで、ムリだから、怜」 「茨城さんは、寝ているだけでいいですから。俺が動きますから」 「そう言う問題じゃねえって、…やめっ、怜」 俺が怜の手の動きから逃れようと身を捩っていると、怜はぴたりと動きを止めた。 「………ダメですか?」 「………………ずるいぞ、怜」 縋るような目で上目遣いに見られたら抵抗する気もなくなる。 俺が身体の力を抜くと怜は、ふふっと笑った。 「なんだかんだで茨城さん、俺に甘いですよね」 「……まあな。…惚れてるからな」 「俺は愛してます」 「…………ばーか」 俺は怜の首に腕を巻きつけ、額を合わせると綺麗な二色の瞳を見つめる。 「…俺、今日は誕生日なんだからな。ちったぁ加減してくれよ?」 「任せてください。一日中、俺が茨城さんを介抱してあげます」 目を見開く俺に口づける怜。 俺はその甘い口づけに、やがて思考を溶かされていったのだった…。

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