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翔と清雅3

ぞろぞろと空き教室から出て行く清雅の取り巻き達、その一人が翔の肩をポンと叩き声をかけてくる。 「良い選択だったと思うよ。」 本当にそうだったら良いのだがと思いながら、清雅を見上げる。 今の清雅は穏やかな表情をしていた。 翔の肩に、清雅の手が置かれる。 「今から髪を染めて、ピアスをすること。俺達以外の者とは交流しないで孤立すること。そして、俺に逆らわないこと。そうすれば弟の事は大目に見るよ。」 「ありがとう……ございます。」 翔は、清雅に連れられて清雅の取り巻きの一人の寮部屋へ向かった。そこで、髪を染めて耳にピアスの穴を開けた。 髪を染めてくれたのは、空き教室を出る時に声をかけてきた坂木という者だった。 「綺麗な黒髪を染めるのはもったいないけれども、清雅さんに飼われているという事を示すためにも見た目を変える必要があるから、我慢してね。」 坂木は、清雅の取り巻きの中では比較的まともそうで、清雅からの信頼も厚いようだ。 彼とは上手くやっていけるかもしれないと翔は思った。 髪を染め耳に穴も開けた翔は、今度は清雅の寮部屋へ連れて来られた。 ガチャリと音がして扉が締まれば、清雅と二人きりである事を意識してしまう。 清雅の腕が翔の腰に回り、顔が近づき唇が触れ合う。清雅の舌にペロリと舐められれば、翔はおずおずと口を開けて清雅の舌を受け入れた。 激しくなっていく口付けにに、翔は苦しくなり目尻に涙が溜まる。 清雅は唇を離すと、その涙をペロリと舐め取った。

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