73 / 304

第73話

「ほら、遠藤飲んで、ぐいっと〜」 梶さんは遠藤にビール、チューハイ、ワイン、と色々な酒をどんどん飲ませた。 「そんな急ピッチはダメージですよ」 体内のアルコール濃度が急激に上昇すれば急性アルコール中毒になってしまう。 「遠藤、水も飲んで。あとチーズも食べる」 柄にもなく甲斐甲斐しく遠藤の世話を焼く。 「浅井も飲めよ」 梶さんが俺にワインを勧めてきたが酒を飲むとろくな事にならないのは実証済み。 「いや…俺は…」 「明日は休みなんだし、ハメ、外そうぜ」 梶さんの瞳の奥に紅い炎を見た気がした。 「遠藤一人に飲ませるの、勿体ないぜ」 グラスに注がれた紅い液体を口に含み喉に落とす。 フルーティーな香りと赤ワイン独特のアクが後を引く。 「これ、美味いです」 「そうか、もっと飲めよ」 ワインは血、パンは肉だったか…? 何かで見た言葉を思い出し、俺は梶さんに勧められるまま、ワインを飲んだ。 「浅井…さん…」 遠藤…? 「すき…です…」 …? 顎をすくわれ遠藤に唇を奪われた。 薄く開いた隙間から熱い舌先が侵入し、俺を犯す。 「…ん…ゃ…」 アルコールの影響で頭が回らずろくに力も入らないが、無けなしの理性が俺にストップをかけてくる。 「…ぁん…ダメ…ぇ…」 力の限りの抵抗。 「浅井さん、可愛すぎる…」 ベッドに寝転んだ俺は遠藤赤い舌が上唇をペロリと舐める様を見て、なぜか背筋がゾクッとした。

ともだちにシェアしよう!