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プロローグ 虚無
受験する先を、決める際。
本命の高校に絶対受かると、中学の担任も塾の講師も、そして自分自身も信じて疑わなかった。
その為滑り止めの学校は、家から近いという理由だけで選んだ。
しかし、試験当日。
俺は中途半端に風邪を引き、熱がある状態で試験に臨んだ。
...結果は、惨敗。
そして四月が来て、この二流どころか三流に近い高校に入学する事を、余儀なくされた。
同じクラスの野郎共のどうでもいい馬鹿話と笑い声が、教室に今日も響き渡る。
...本来ならこんな所、俺の居るべき場所じゃない。
そういう風に考えている事が、滲み出てしまっていたんだろうな。
気付くと俺は一人、クラスで完全に孤立してしまっていた。
でもそれすらも、正直どうでも良い事だった。
三年間我慢したさえ、この地獄の拷問のような時間は終わるのだから。
そしてここの連中に惑わされる事なく自分を保てたならば、再び人生のレールは元のルートに戻す事が出来る。
そんな風に、思っていた筈なのに。
...アイツは土足で強引にズカズカと踏み込んで来て、俺の世界を変えたんだ。
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