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「ちょっと待ってて」 「……っ」 柔らかな場所へ降ろされた遥人が体を大きくビクつかせると、喉で笑った玲は踵を返して部屋から出ていった。  ――ここは、どこだろう? 部屋へと1人残された遥人は、所在無く、視線をうろうろ彷徨わせる。 まず、今遥人がいる場所は、広いベッドの上だった。 シンプルだが重厚なそれは白を基調にしたデザインで、焦茶色のベッドカバーが半分ほどに掛けられている。さらに傍には、クッションなのか枕なのかは分からないけれど、様々なサイズのものが5、6個まとめて置かれていた。 ベッドサイドにはアンティーク調の小さなテーブルが置かれており、床一面に毛足の長い絨毯が敷かれているが、どちらも色は真っ白で……生活感の無い空間に落ち着かない気分になる。  ――あそこからなら、逃げられる……かも。 目線を上げて辺りを見れば、少し離れた所に白いソファー。その向こう側に大きな窓が存在するのを確認し、あそこからなら逃げられるかもしれないなどと考えた遥人は、思わず身を乗り出そうとするけれど――。 「無理だと思うよ」 「っ!」 突如背後から聞こえた声に、声も出ないほど驚いた。

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