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ニヤリと上がる口角を見て、背筋を冷たいものが走った。
今からでも手続きをして、除籍にしたほうが簡単なのではないかと遥人は思ったが、そうしないだけの理由が彼にはあるのだろうか。
『いいか、よく聞け――』
「遥人は、どうしてお爺さんの言うことを聞かないの?」
「え?」
考えに深く耽っていると、上半身を拭き終えた玲が、覆い被さるように顔の左右へと手をついてきた。
「遥人が実の子供じゃないことは秘密にしたいみたいだけど、学校では御園の息子だってことを利用して、御園の有利になるような人間と交友関係を作れっ……て、言われたんだよね」
「な、なんで……」
「お爺さんから"良くやった"って伝言を受けた。うちは代議士の家系だから、でかしたってところじゃない?あと、“アレが気に入ったなら、好きにしていい”だってさ」
「好きにって……そんなこと、俺は……あっ」
「もう、難しい事考えるのやめなよ。俺が真実を知ってることは、お爺さんには話してない。あとは遥人が頷くだけだ。俺と……付き合うだろ?」
下肢へと触れた彼の指先が、迷うことなくボクサーパンツをずらして中へと入ってくる。
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