37 / 338

34

ニヤリと上がる口角を見て、背筋を冷たいものが走った。 今からでも手続きをして、除籍にしたほうが簡単なのではないかと遥人は思ったが、そうしないだけの理由が彼にはあるのだろうか。 『いいか、よく聞け――』 「遥人は、どうしてお爺さんの言うことを聞かないの?」 「え?」 考えに深く耽っていると、上半身を拭き終えた玲が、覆い被さるように顔の左右へと手をついてきた。 「遥人が実の子供じゃないことは秘密にしたいみたいだけど、学校では御園の息子だってことを利用して、御園の有利になるような人間と交友関係を作れっ……て、言われたんだよね」 「な、なんで……」 「お爺さんから"良くやった"って伝言を受けた。うちは代議士の家系だから、でかしたってところじゃない?あと、“アレが気に入ったなら、好きにしていい”だってさ」 「好きにって……そんなこと、俺は……あっ」 「もう、難しい事考えるのやめなよ。俺が真実を知ってることは、お爺さんには話してない。あとは遥人が頷くだけだ。俺と……付き合うだろ?」 下肢へと触れた彼の指先が、迷うことなくボクサーパンツをずらして中へと入ってくる。

ともだちにシェアしよう!