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「まあいいや。こんな話しててもつまらないだけだ。今日は遥人が“イエス”って言えるまで、可愛がってあげないといけないから……」 男同士という事に彼は嫌悪感が無いのだろうか? それとも、そもそも同姓にしか興味を抱かない性質なのだろうか? 「うーん、やっぱり縛ろうか」 この状況から逃げる算段もまるで見つけられないうちに、物騒な事を玲が言うから、遥人は青ざめ竦み上がった。 「やっ、いやです……」 「遥人の意見は聞いてない」 何故唐突に縛るだなんて言い始めたのか理解できず、震える声で拒否するが、冷たい声音で一蹴される。 「でも……」 「準備するから、動かないで待ってて」 なおも食い下がろうとするけれど、まったく聞いて貰えずに、軽い目眩を覚えた遥人が唇を噛んだその瞬間、自分の上から退いた玲がこちらに背中を向けたから……その一瞬で遥人はベッドの上からどうにか転がり落ちた。 「くぅっ」 多少体は痛むけれど、そんなことには構っていられない。 這うようにして扉へと進み、ノブを掴んで立ち上がると、「往生際が悪いなぁ。無駄だよ」とあざ笑うような声が背後から聞こえてきた。 声を無視してノブを捻ると、それは素直にクルリと回る。 もしかしたら、逃げられるかもしれないと……微かな望みを抱いた遥人が勢いよくそのドアを開き、走り出そうとした刹那……目前に黒い色が広がり、体中を衝撃が襲った。

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