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「ん、んん――っ!」
そのあとはまさに一瞬で、ペニスを掴む玲の掌に力が篭もり扱かれた刹那、腰を浮かせた遥人の体がビクンビクンと痙攣する。
「ア……アアッ」
ようやく訪れた射精感に短い息を繰り返せば、ようやく口づけを解いた玲が、「よくできました」と頬を優しく撫でてくれた。
「あり……がとう、ございま……」
美麗な顔を瞳に映し、どうにかそこまで言葉を紡ぐが、視界はすぐに暗くなり……体中から力が抜ける。
「可愛いけど……いくらなんでも感じすぎ。使いすぎじゃない?」
「手段は選ばないって言ったのは、お前だろ」
意識を飛ばす直前に、いない筈の堀田の声が聞こえたような気がするが、絶頂感に侵された思考はそこでプツリと途切れてしまい、糸が切れた操り人形みたいに遥人は脱力した。
***
「意味が分からないって顔してる」
目覚めると、まず視界に入ってきたのは見慣れた部屋の風景だった。
見慣れたとは言ってもそれは日常的な意味ではなく、この場所が好きになるなんてことはこの先絶対無いだろう。
この部屋で自分が見せた淫らで醜い姿を思えば、すぐに逃げたくなるけれど、それが許されることじゃないのは分かっているから辛かった。
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