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「俺の話、ちゃんと聞いてる?」  そんな中響く玲の言葉は、耳まではちゃんと届いていたが、完全に上の空だった。  自らの舌に歯を立てようとしたのは衝動的な行為で、"そうすれば逃げられる"としか今の遥人には考えられない。 「ん、んぐっ……」 「……危ないなぁ」  しかし、口元の微かな異変を玲は素早く見抜いたようで、狭い口腔をこじ開けるように二本の指を差し入れてきた。 「死にたいの?」 「ヴッ……んぅ!」  尋ねる声が聞こえるけれど、喉奥まで届く指先に嘔吐く遥人に返事はできない。 「……遥人はぜんぜん分かってない」  生理的な涙を流す遥人にはもう見えていないが、呆れたように呟いた玲は、開口具を取り出してそれを器用に口へと取り付けた。 「ん……んぅっ」  覚えのある感覚に、遥人は苦悶の声を上げる。  この道具は嫌いだ。  口淫を強要された時の苦しみを思い出せば、好きになどなれるはずもない。 「そんなこと、考えられないようにしないと」  独白のような呟きと共に、開きっぱなしになった口腔へ甘い液体が注ぎ込まれ……遥人は激しくせき込みながら不自由な体を捩らせた。  それから、遥人の頭上へ乗り上げた玲は、下肢をくつろげ、僅かに硬度をもったペニスを取り出してから、手首の拘束を解いていく。 「ん……んぐぅっ!」  自由になった腕を動かし、無我夢中で開口具を外そうとしたその刹那、クッションが首の下へ差し込まれ遥人の視界は逆さまになる。

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