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――そういう……ことだ。
さまざまなことに流され続けた数週間だったけど、ここまできて、ようやく遥人は本質へと辿り着けた。
なにせ、愉悦と痛みを交互に注ぎ込まれる中では、ゆっくり思考を巡らせることもまともにできなかったのだ。
――やっぱり、俺は……。
不貞の子だと知った時から、苦労して死んだ母にとって、自分が必要な存在だったという自信は無くなった。
憎々しげに自分をなじった血の繋りのない祖父も、会ったことのない戸籍上の父親も、誰も自分を必要とはしていない。
高校に入学してから、遥人はずっと孤独だった。
中学時代は友人もいたが、連絡を禁じられてからすでに二年以上が過ぎているから、きっと自分は薄情者だと思われた挙げ句、忘れ去られているだろう。
何かに縋りつきたくて、望んでなった訳でもないが、御園の名字に恥じぬよう……目立たぬように暮らしながらも、空いているほとんどの時間を勉強に費やした。
だが、そんな努力をしてみたところで、何かが変わる筈もなく――。
――分かってる。何をしても、無駄なんだ。
冷たい笑みを浮かべる玲をじっと見上げる遥人の頭に、“死”という単語が現実的な縁取りを帯びて滲んでくる。
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