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第1話

 冬のある寒い日。学校帰りに友人と別れ、誰もいない家に帰ることが俺の習慣だった。  小さな公園を抜けた先にある集合住宅地の一角。歩道の脇には自然エネルギーを用いた街灯が、暖かい光で辺りをほんのりと照らしているが、俺の心はすっかり冷えきっていた。 「ただいま」  誰もいない玄関に向かって小さく声を発する。両親は共働きで忙しく、俺が家に帰る頃には誰もいないのが普通だった。  だが、この日は違った。 「おかえりなさいませ、和希坊ちゃま」  平坦だけど、どこか温かみのある声が返ってきた。  見上げた先にいたのは、スラリとした体躯に中性的な顔をした年若い青年。  これが当時六歳の俺こと高梨和希と、アンドロイドのユキとの出逢いだった。

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