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エピローグ 苦くて、甘い

蕩かされた頭の片隅で、ぼんやりと思う。 まるでカカオ80%のチョコレートを、初めて食べた時みたいだ。 一見すごく甘そうで、すごく美味しそうなのに。 ....騙 さ れ た !! 行為が終わり、まだ放心状態の俺の体を、楽しそうに浄めてくれている樹。 「...ありがと。」 感謝の言葉を口にしたら、一瞬彼はギョッとした感じで瞳を見開いた。 「どういたしまして。  ってあんな事されたってのに、礼を言うとか...どんだけお人好しなんだよ。」 呆れ口調で、言われた。 「んー...、まぁ確かにな。  でも今自分では動けないから、放置しないで綺麗にしてくれるのは助かるし。」 すると何故かコイツは、はぁ...と小さくため息を吐き、眉間に深いシワを寄せた。 「そういうとこ、好き」 ぶっきらぼうに、ひとりごとみたいに呟かれた言葉。 あれ...?なんかちょっと、予想外な反応。 でも、ふと思う。 もしかしたらコイツにはまだ、別の顔もあるのかも知れない。 可愛くなくて、強引で...でも意外と素直なところもあったりする、オレ様鬼畜どSな樹。 思っていたのとはかなり違うかったけれど、でもこれも悪くないかも知れないな、なんて考えている自分に気付き、苦笑した。 【...fin】

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