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ジャック
「嫌われちまったなー、お前。」
ジャックはこっちの気持ちなど知らん顔でリョウに嫌われてしまった僕のことを笑いに来た。
「これから信頼を取り戻せばいいんだよ。多少強引にでもここに来てもらう必要があったんだから。」
「へーへー。お優しいなーお前は。」
ジャックは自分のナイフをクルクルと指で回して興味なさそうに相槌を打った。
「今日は血の匂いがしないね、お前。」
「お前のお気に入りに会いに行くのに血の匂いがするんじゃ嫌われちまうだろ?」
「は?」
「今日は白鳥リョウに会いに行くって決めてんだー。騙してアメちゃんあげたこと謝んねーとだしな。」
乱暴に見えて飄々としていて、掴めないこいつは元来悪党で、今は大人しくしているがあまりリョウに近寄らせたくないのが本音だった。
今はアダムの元に預けているから余程のことがなければ大丈夫だろうけれど。
***
ハロウィンタウンでも一際でかい建物はフランケンシュタインの病院兼研究所になっている。
そこに白鳥リョウは預けられているらしい。
「白鳥リョウに会いに来た、案内しろ。」
早速受付の機械にそう言えば
「コチラヘドウゾ」
とぎこちない機械音がかえってきて機械は動き出した。
フランケンシュタインはかの有名な人間を生き返らせるという禁忌を犯したあの科学者だというのに、今ではこんな機械ばかり作っている。アダムだけがあいつの成功例で、あいつはアダム以外に特別な人間を作ろうとはしない。何故かは俺は知らないが。
「コノ部屋ニ、イラッシャイマス。」
「ありがとな。」
案内された部屋のドアを勢いよく開けると、怯えた顔でこちらを見る子どもがいた。
「トリックオアトリートォ。」
「お、おかしもってないです…。」
「じゃあイタズラしていい?」
「う…。」
「嘘嘘ー、そんな身構えんなよ。前は悪かったな、騙すようなマネして。」
俺が頭を撫でようとするとあからさまに緊張した面持ちで目を瞑ったが撫でてやると少し警戒を解いたようだった。
「フランケンさんから聞いた、僕のためなんだって。だからちょっとだけ許す。」
口を尖らせ拗ねたような顔をするそいつはちょっと可愛い。
「まだ全部許したわけじゃないからね。」
「どうしたら許してくれるんだ?」
「ジャックさんのこと聞かせてよ。シキにここに連れてこられたってことはジャックさんも僕と同じような力があるの?」
「そんなことでいいのか?俺にはそんな力はねーし、連れてこられたというよりは拾われたってのが正しいな。」
「どういうこと?」
「長くなるけどな…」
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