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第3話 ⑪
朋希が自宅のマンションまで戻ってくると、玄関のドアを照らす明かりの下に立っていた男が小さく手を挙げた。
「や、お帰り」
彼は誠二郎が雇った探偵だった。
「ここのセキュリティはいいね。オートロックだし、防犯カメラもある。ほんといいマンションを選んだね、誠二郎さんは」
「どうしたんですか、ユキムラさん。用があるなら連絡してもらえればよかったのに。誠二郎さんは」
「出かけてるみたいだよ」
「え、こんな時間に」
「それより朋希君、榎本事務所に行ったんだよね。どう? 何か収穫はあった?」
「収穫と言えるようなものは……ただ、悠利さんはやっぱり知らないみたいでした」
するとユキムラが、じっと朋希の目を見つめる。
「本当に? 君の感情ありきの判断じゃないよね」
「違いますよ。ちゃんと目の前で再確認した結果です」
「ふうん。じゃあ信じるとして、そうなると箱のありかを知っている可能性があるのは所長か榎本快ってことだね」
うーん、とユキムラが軽く首を傾げる。
「なら所長のほうは誠二郎さんに任せるとして、俺は榎本快にリベンジでもしようかな」
そう言って彼は、に、と笑った。
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