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第14話 ちょっとした嫉妬
朝食を終えて一休みすると、雅仁は元の外出着に着替えた。
「さて、そろそろ失礼する。いろいろ世話になった」
「なんの。また絶対に来ておくれね」
玄関まで来た紅月はふと足を止めた。
「ちょっと待ってておくれ」
奥に引き返していく。
しばらくして二人分の話し声が近づいてきた。
「ぬし様すみませんっ、申し訳ありません」
「いいからいいから。黙って帰してしまったら怒るだろう?」
「そんな!ぬし様」
歩けない藍を紅月が抱き抱えて来たらしい。
「おい、大丈夫か藍。すまないな」
雅仁が声をかけると藍はぱっと顔を赤くした。
「あぅ、えーと、雅仁様、お気をつけて。またどうぞお出でくださいませ」
ありがとうと言って柔らかな頬に口づけると、藍は慌てた様子で真っ赤になって紅月にしがみついた。
その様子に思わず笑っていると、藍の髪を撫でる紅月から鋭い視線を感じた。
見ると、目を細めて雅仁を無表情に見下ろしている。
「……妬くなよ……大人げない」
紅月も肩を抱き寄せて唇を重ねると、ようやく機嫌がなおった。
「それでは、失礼する」
「気をつけて」
二人の見送りを背に玄関を出て、庭を通って門まで来る。
昨日よりは軽い足取りで門をくぐり、帰路についた。
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